経営の健全性・効率性について
当事業の経営については、類似団体と比較して、概ね良好な状態である。その内訳として、経常収支比率は、類似団体と比べ117.75%と黒字経営であるが、昨年度の119.34%に比べると低くなっている。これは、営業費用が増加したためだが、維持管理費用を削減するなど、健全な経営を続けている。流動比率は686.36%と高く、支払い能力があることを示しているが、これは、流動資産の中に、今後の更新費用の財源となる資金を含んでいるためである。企業債残高対給水収益比率については、当事業が平成20年度を最後に企業債の借入を行っていないため、年々減少しており、計画的な企業債の償還がされている。料金回収率は、毎年100%を超えていることから、費用を給水収益で賄えており、料金水準は適切だと考えている。施設利用率は、74.09%という値からも、適切な施設規模であると考える。有収率は、87.71%と毎年減少傾向にあるため、漏水調査を行うことで、原因を特定し、改善していく必要がある。
老朽化の状況について
水道施設の老朽化の状況については、類似団体と比較して概ね良好である。その内訳として、有形固定資産減価償却率は、39.42%と低く、施設が比較的新しいことがわかるが、年々老朽化の度合いが増えてきているので、将来的には施設の更新等について考えていく必要がある。管路経年化率は、類似団体と比べ1.76%と低いが、昨年度の1.53%に比べると値が上がっていることから、管の老朽化が進んでいると考える。また、管路更新率は、0.82%と低い値であったが、大口径の基幹管路を中心に更新しており、今後は更新率が高くなる見込みである。
全体総括
当事業の経営状況は、左記指標及び上記分析欄に示すように安定的な経営が維持されている。しかし、将来的には、給水人口減少に伴う給水収益の減収や施設の老朽化に伴う費用の増大が見込まれるため、長期的な収支計画を策定し、今後も見直しを行うことで安定的な経営を維持していく必要がある。経営健全化・効率化については、有収率の減少を改善するため、漏水等の原因の特定や、早急な修繕を行うことに努めていく。また、施設の更新については、計画をもって費用の平準化を図っていくことで、経営を安定させていく。老朽化対策については、管路の更新計画などを見直し、補助金等の財源を確保していくなど、効率的な経営を行っていく。