経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は前年に比較し微増と改善されたものの、100%を下回り単年度での収支は赤字となりました。総収益に対する一般会計繰入金の比率は74.1%であり、当地域は使用料収入の増加を想定することが困難な地域であることから、大きな増減はないものと考えます。企業債残高対事業規模比率については、償還のピークは過ぎたものの償還期間を残していることから、今後もゆるやかな減少を辿ることとなります。経費回収率は100%を下回り使用料収入で経費を賄うことができない状況でありますが、前述したとおり一般会計からの繰入金に依存する状況であることから、経営状態は健全な状態ではないと評価される結果となっております。汚水処理原価が平均値を上回っている要因は、有収水量の伸び悩みであるが、接続率が100%に近い中では横ばいの状況が続くものと考えます。施設利用率及び水洗化率は人口自体の伸びが無いことから頭打ちの状態で、これ以上の改善は期待できないと考えます。
老朽化の状況について
当事業区域の供用開始は平成16年度のため老朽化率が低く、処理施設も健全な状態にある。また、平成26年発生の地震災害により管渠全延長の約1割が被災し、復旧工事を行ったことも要因の一つである。これらのことから更新時期を迎える状況にはありません。
全体総括
事業区域は山間部に位置し、人口の増加も想定しづらいことから使用料の増収は現在の料金体制では困難な状況にある。今後も一般会計からの繰入金に依存する体質は変わらず、将来企業債の償還が終わっても使用料収入のみで現状の施設維持管理費を捻出することは出来ない。事業計画人口に対し、区域内人口は55%であることから、ダウンサイジングという施策も考えられるが、事業実施による企業債の増は、繰入金のさらなる増額といった経営状況の悪化に繋がる恐れがある。以上のことから当事業区域については、経営指標の改善策を講じるよりも公共下水道への統廃合を検討すべきであるが、物理的統合は地理的要件や事業費的にも困難であることから、物理的手段以外の統廃合や、現施設を維持し健全運営の道筋を模索していくといった検討が必要である。