経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は徐々に伸びていたが、平成28年度からマイナスに転じ、平成29年度決算は前年比-4.43%となった。起債償還額が多く、一般会計からの繰入に頼らざるを得ない経営となっており、設備の修繕費が嵩むと収益的収支比率は低下してしまう。料金体系については、平成25年度に300円の増額を行ったが、経費回収率は100%前後で推移しているため、概ね適正な水準だといえる。また、汚水処理原価も類似団体と比較して低くなっており、効率的な汚水処理が行われているといえる。しかし、今後は更に施設の老朽化が進み、維持管理費の増加が予想される。接続率の向上に取り組み、処理コストを抑えるよう努めなければならない。施設利用率については、人口の減少により利用率が上がらない状態が続いている。しかし、村内3カ所の処理区域が離れているため、施設の統廃合による利用率の改善は難しい状況である。企業債残高対事業規模比率は(524,175-484,712)÷18,263×100=216.08が正しい。
老朽化の状況について
供用開始以降、管渠の更新は行われていないが、供用開始後20年以上経過した施設もあり、老朽化は確実に進んでいる。また、雨水等不明水の流入も認められるため、まずは管路の現況を把握することが重要であると考えられる。処理施設は管路よりも老朽化の進行が顕著であり、突発的な故障に伴う修繕費の増加が経営に与える影響は大きい。維持管理業務の中で異常が発見されたものについては、その状況に合わせて機器の修繕・更新を行っている。
全体総括
建設時の起債償還が今後20年続くため使用料収入とバランスのとれた更新計画が必要である。人口減少の続く社会情勢の中で使用料収入の確保については非常に困難を伴うと予想されるが、未接続世帯への啓発に努め、少しでも使用料収入を増やす努力が必要である。管路及び施設の現状の正確に把握し、効率的な維持管理、更新計画の策定など経営の健全性を確保しなければならない。