経営の健全性・効率性について
経常収支比率については、類似団体平均値より下回っていますが、黒字決算となりました。平成3年度から始まった下水道工事も平成22年度には村全体を網羅できました。平成23年度以降は維持管理を主とした事業運営に切り替わり、それに伴い下水道工事費が縮減され、人件費の削減も図られました。また、全国的に人口が減少している中、南箕輪村では年々人口が増加しており、それとともに接続率も上昇し、使用料収入が増え続けています。将来的には人口減少による減収が見込まれ、時代の変化や、国及び県の施策の動向に注視しながらより一層効率的かつ健全な経営に努めていきます。累積欠損比率については、類似団体平均値との比較において、大きく上回っています。これは、多額の企業債を発行して工事を実施し、下水道を普及させてきたことによるものです。下水道整備は概ね完了し、企業債返還のピークを向かえ今後は累積欠損金は減少していきますが、新たに老朽化に伴う下水道施設の改築更新など費用が増えることから、下水道ストックマネジメント計画を策定し、投資の効率化、事業の平準化に努めていきます。経費回収率については、昨年度より上昇し、類似団体平均値との比較において、若干上回りました。平成29年度の全国平均との比較では、101.26%に対して81.78%と下回っています。平成23年度に使用料の増額改定を行いましたが、適正な使用料金体制を築くため、平成29年度にも増額改定を行いました。今後も汚水処理費の削減に努め、経費回収率を100%の水準に近づけるよう経営努力を続けていきます。汚水処理原価については、接続率の向上により有収水量が増加するなかでも、汚泥汚泥処分費を抑えるなど維持管理費を抑えてきました。今後も接続率向上に努め、太陽光発電施設を設置し電気料を抑えるなど維持管理費を抑える取組みを進めていきます。水洗化率については、年々上昇しており、平成29年度においても類似団体平均値を大幅に上回っています。使用料収入の増加等の観点から、今後も100%を目指し、健全経営に努めていきます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率について、類似団体平均値との比較においては上回っていますが、全国平均との比較では、下回っています。特に管渠以外の施設で減価償却が進んでいます。平成24年に策定した「浄化センター長寿命化計画」に基づき、年々老朽化が見込まれる管渠、処理場、ポンプ等の維持管理の機能向上と、各施設の更新を計画的かつ効率的に推進していきます。
全体総括
財政面では下水道を普及させるため、多額の建設投資を実施してきたことにより、企業債残高は平成29年度決算で約55億と累積していますが、平成20年度の約78億円をピークに年々減少しています。今後は使用料収入の状況を見極めながら投資効果を考慮し、建設事業に伴う企業債の借入規模を抑制し、将来の利息軽減を図っていきます。経営面では、全国的には人口減少等で使用料の増収が見込めない中で、南箕輪村は年々増収しています。要因としては、人口増や未接続世帯解消のために接続依頼通知の送付などが考えられます。平成23年度と平成29年度に使用料の増額改定を行いましたが、適正な使用料体制を築くため、定期的に改定を実施していきます。また、水道料金の徴収と同様に、悪質な滞納者に対して給水停止措置などの厳しい措置を講じつつ、未収金の解消にも努めていきます。事業面では、平成24年度に効率的・効果的な事業運営を目指し、農業集落排水施設処理場(いずみ苑)を廃止して、公共下水道事業に統合したことにより、施設の維持管理費の抑制に努めてきました。平成28年度には経営戦略を策定し、平成29年度以降はその計画に従って計画的に事業を行い、健全経営を目指していきます。