経営の状況について
収益的収支比率については、100%以上(黒字)となっており、高い比率で推移している。R2においては、売電収入が増加したものの、公課費の支払増等により、R1と比較し若干下落した。営業収支比率については、100%以上(黒字)となっている。供給原価については、類似団体平均値より低い水準にあり、供給に係る費用を低く抑えられている。EBITDAについては、類似団体平均値より高い水準にあり、収益性が一定以上継続している状況にある。R2においては、売電収入が増加したものの、公課費の支払等も増加したため、R1と比較し若干の上昇となった。一般会計への繰出しを行っており、市が管理する農業施設等の維持管理費の軽減に寄与しているほか、建設後、概ね10年毎の実施を計画している、水車の摩耗などの経年劣化に対応するための分解整備(オーバーホール)等に備え、それに充てる財源も一定以上確保できる状況にある。
経営のリスクについて
設備利用率については、高い水準で推移しており、一定以上の効率的な運用が行えている。H28において故障等による停止期間が長期となったことにより下落し、発電形式別(水力発電)では類似団体平均値より低い水準となったものの、H29において数値が改善した。R2においてはR1と比較し若干上昇した。修繕費比率については、H30に初めて修繕を実施したことにより発生し、R2においても実施した(H28における故障の修繕は業者負担)。類似団体平均値より低い水準にあるものの、修繕の必要性を見極めるための点検について十分に実施してきた結果ではない。今後は、計画的に点検を実施し、設備の長寿命化を図るための修繕を適切な時期に行う必要がある。企業債残高対料金収入比率については、電気事業全体では類似団体平均値を上回っているが、発電形式別(水力発電)では、類似団体平均値より低い水準にあり、施設の安定的な運用により将来の償還財源の確保が見込める状況にある。H28において黒瀬川発電所建設に伴う起債のため上昇し、発電形式別(水力発電)でも類似団体平均値より高い水準となったものの、H29において数値が改善し、R2においても若干下落傾向にある。FIT収入割合については、100%となっており、固定価格買取制度の調達期間終了後、買取単価が下落し、収入が大きく減少するリスクを抱えている。
全体総括
現状において、経営の健全性及び効率性は確保されている。市が管理する農業施設等の維持管理費の軽減に寄与しつつ、設備の経年劣化に対応するための分解整備(オーバーホール)等に備えた財源の確保を図る観点から、設備の点検及び長寿命化のための修繕を適切な時期に実施し、故障等のトラブルによる施設の停止をできる限り回避することで、さらなる経営の安定化を図る必要がある。FIT適用終了(R14)後の事業のあり方については、現時点で方針は定まっていないが、事業の廃止も含め検討することとしている。今後は、令和2年度に策定した経営戦略をもとに、計画的かつ合理的な経営を行い、経営基盤の強化等に努める。