経営の健全性・効率性について
本市下水道事業の令和2年度決算は、地方公営企業法の適用後初の決算で、単年度の収支は黒字、経常収支比率は109.57%となり、平均値を上回りました。しかし、企業債残高対事業規模比率は平均値を上回っており、企業債残高は減少傾向が続いているものの、下水道使用料に対して大きなウエイトを占めています。これは、本市が単独処理場を2つ整備して下水の処理を行っているためであり、この結果、経費回収率は100%を下回り、汚水処理にかかる費用が使用料以外の収入によって賄われています。水洗化率が既に100%近くに達しており、将来の人口減少に伴う使用料収入の減少が見込まれることから、使用料の適正負担や経費削減に取り組む必要があります。
老朽化の状況について
地方公営企業法の適用にあたり、法適用時点の簿価が法適用開始時の資産価額となるため、有形固定資産減価償却率は、実際の有形固定資産の減価償却の進み具合よりも低い値となっています。また、管渠老朽化率、管渠改善率は、いずれも平均値よりも低い値となっていますが、今後、布設から50年を超えた管渠の延長が急激に増加することが見込まれており、「大和市下水道ストックマネジメント計画」や「大和市下水道総合地震対策計画」に基づく施設の更新を適切に進めていく必要があります。
全体総括
本市では、公営企業の中期的な経営の基本計画である「経営戦略」として、令和2年度から10年間を計画期間とする「大和市下水道経営計画」を策定しております。この中でも、直面する課題や社会的背景として、老朽化した施設の更新や耐震化、人口減少に伴う使用料収入の減等を挙げています。今後は各種経営指標の推移や社会情勢の変化等を踏まえ、比較、分析を行い、持続的かつ安定的な経営に努めてまいります。※令和2年度から地方公営企業法を適用したため、令和元年度以前のデータはありません。