経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、平成30年度に引き続き100%を上回ることができた。この主な要因は、企業債償還費用が減少していることによるものである。令和2年度より公営企業法を適用したため、今後の推移を注視していく。④企業債残高対事業規模比率は、平成26年以降減少傾向にあり、類似団体の平均値より低くなっている。これは、企業債償還のピークが過ぎたことから年々残高が減少していることによるものである。⑤経費回収率は、100%を上回ることができたが、汚水排水量の推移に注視し、適正な下水道使用料の確保について検討していく。⑥汚水処理原価は、類似団体の平均値よりも下回っているが、今後も汚水処理費の動向に注視していく。⑧水洗化率は、99.95%となっており、類似団体の平均値より高い数値となっている。これは汚水処理が適正に行われていることを表している。
老朽化の状況について
③管渠改善率については、管渠の多くは、昭和50年代に整備されており、布設から40年以上が経過し、老朽化が進んでいる。このため、効率的な整備と適切な維持管理を行うために、点検調査や工事等の予防保全対応のための計画を作成し、対応している。当市は、この計画に基づき、汚水管をテレビカメラにより点検、調査し、不良個所の内面補修工事を実施することで、汚水管の長寿命化を図っている。
全体総括
下水道使用料収入については、大口使用者の動向や、人口減少、節水型社会への移行、コロナ禍などの要因により、減少傾向となっており、料金体系の具体的な検討が必要となってきている。当市の普及率は99.63%であることから、下水道使用料の伸びは見込めないが、引き続き大口使用者の動向を注視していく。一方、今後は管渠の老朽化に伴う内面補修工事などの増加が予想され、この費用の財源を確保していくことが不可欠となってくる。下水道の拡張整備期からすでに維持管理の時期となり、これまで以上に事業の計画的で効率的な実施とともに適正な施設整備や工事コストの縮減に努め、安定的な事業運営を図る必要があることから、令和2年度より公営企業法の全部適用、下水道ストックマネジメント計画の策定を行った。また、令和3年度から令和12年度までの10年間を対象とした、経営戦略の策定を進めており、より一層経営の健全化に取り組んでいく。