地域において担っている役割
当院は地域の中核病院として幅広い年齢層の患者さんを診療しています。中でも、在宅療養後方支援病院として、在宅患者の急性疾患に対して入院治療を行っており、また、地域医療連携により在宅医療機関の診療支援を実施しております。また、周産期医療に力を入れているため、それに伴い新生児の患者数が多いことが特徴です。稲城市は高齢化が緩やかなほうとされていますが、ご高齢の患者さんも多くなってきており、昨年は80歳以上の患者さんが2割以上を占めています。
経営の健全性・効率性について
(1)費用の削減・抑制について、「ベンチマークでの費用分析によるコスト管理」「ジェネリック医薬品の使用率向上」「医療機器購入にあたって医師を含んだ委員会での検討」を行い、費用削減に努めました。(2)各指標分析…地域連携の強化により、手術を要する患者の紹介が外科、整形外科等で増えたことにより、入院収益が約6,000万円増収につながりました。このことから①経常収支比率が2年ぶりに100%を上回り、また②医業収支比率も90%台を回復しております。また患者一人当たりの単価が高い、外科、整形外科が増えたことで⑤入院患者1人1日当たり収益が前年度と比較し596円増加し、47,287円となりました。⑦職員給与費対医業収益比率が高止まりしているのは、施設基準申請のために計画的に常勤職員数を増やしている段階で、平成26年と比較し人件費が約2億円増加したのに対して、収益が約1億円の増加に留まっていることが主な要因です。今後は常勤者を増やした分、非常勤職員の雇用について整理を検討します。
老朽化の状況について
新病院開設より19年が経過し、「有形固定資産、器械備品減価償却率」が、年々、高くなっており、施設の損傷や設備の耐用年数経過が進んでいます。累積欠損金がある中では、器械備品の購入や、大規模改修を行うことは難しい経営状況です。そのため、計画的に施設・設備の点検や清掃を行い適切な管理を行い、病院機能の維持に努めております。また、通常業務時のほかにも、災害拠点病院として災害時にも機能を発揮する使命があることから、引き続き施設・設備を常に健全な状態に保っていきます。
全体総括
「第三次稲城市立病院改革プラン」に基づき、健全な病院経営が継続的に行えるよう、中期的な見通しに基づいた経営を行っています。平成28年度の診療報酬改定により、28年10月より6病棟中3病棟を「7対1」、3病棟を「10対1」に変更しましたが、平成29年度においては、地域医療連携を強化するための施設基準の取得に取り組むことで、患者一人当たりの入院単価への影響は、みられませんでした。なお、平成24年に開設した健診・外来棟の医療機器等の減価償却の固定費や、本院が開設から19年経過したことによる施設や医療機器等の修繕費の費用の増加が医業費用に大きな影響を与えています。