経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率昨年に比べて3.80%減少し、100.93%となった。減少した主な原因は、前年度に比べ、維持管理費用の大半を占める清掃業務委託料において、汚泥引抜単価が増となり、支出が増加したためである。改善に向け、使用量(汚泥の堆積)に応じて、汚泥の引抜く量を抑え、支出額を抑える方法を検討する。④企業債残高対事業規模比率昨年に比べて75.82%増加し、972.90%となった。増加した主な原因は、令和2年度から元金の償還が発生したためである。現在もなお、新たに浄化槽を設置しているため、企業債残高対事業規模比率は増加傾向にあるが、国費や県費といった財源を活用して増加を抑える。⑤経費回収率昨年に比べて8.86%減少し、40.23%となった。減少した主な原因は、清掃業務における汚泥引抜単価が令和元年度の8.8円/Lから令和2年度12.0円/Lに増加したことや、老朽化による周辺機器の入れ替えや修繕が多く発生したことにある。老朽化による修繕は、今後増大する見込みであり、減少率を抑えるため、.同様の対策を図る。⑥汚水処理原価汚水処理原価は、有収水量1.あたりの汚水処理に要する費用を示した値である。昨年に比べて66.50円上昇した原因は、.同様に汚泥引抜単価が前年より増加したことにある。改善に向け、.同様の対策を図る。⑦施設利用率浄化槽の処理能力量のうち、実際に処理している量(処理量)の割合を示す値である。人口や世帯員数といった自然要因により処理量が減少しやすい傾向にあるが、令和2年度から使用状況に合わせ浄化槽の人槽を算定しており、数値の改善を図る。⑧水洗化率処理区域内人口のうち、水洗便所設置済人口の割合を示す値である。地方公営企業決算状況調査票作成要領(P.142)において、当該事業の現在排水区域内人口及び現在処理区域内人口は、浄化槽設置済人口と同じ値となり、浄化槽設置済人口は、水洗便所設置済人口と同じ値となるため、常に100%となる。
老朽化の状況について
当町の特定地域生活排水処理事業(横瀬町浄化槽設置管理事業)は、平成26年10月から整備を開始したものであり、現時点では老朽化による更新は実施されていない。合併処理浄化槽の駆体は土中に設置されるものであるため外的要因による劣化が発生しにくい面があるが、内部部品については摩耗等による劣化が駆体よりも早期に発生し軽故障等の原因となることが考えられる。しかし、新設・転換よりも設置年数が経過している帰属にあたる合併処理浄化槽において、老朽化が原因によりブロアの修繕や交換が数件発生している。今後も浄化槽法に規定されている保守点検、清掃、法定検査等の実施し老朽化の状況を把握するとともに内部部品については、保守点検等の結果に基づき、必要に応じて修繕等を行い浄化槽の機能が適正に発揮されるよう維持管理していく。
全体総括
当町の特定地域生活排水処理事業(横瀬町浄化槽設置管理事業)は、浄化槽処理促進区域(下水道全体計画区域を除いた町内全域)において合併処理浄化槽を設置、維持管理するもので、生活排水による公共用水域の水質汚濁を防止し、併せて生活環境の保全及び地域公衆衛生の向上を図るため必要不可欠な事業である。事業開始から7年目となる令和2年度末時点において、管理している浄化槽は150基となっており、年間約20基ずつ増加している。使用料収入は、設置人槽に応じた定額制のため、設置基数に比例して増加している。維持管理については、保守点検及び清掃を業者委託して実施しており、各浄化槽の使用状況に応じた作業が必要となることや法定点検に要する費用もあるため一概に経費削減を図ることが難しい面もある。また、経費回収率及び汚水処理原価の改善のため、今後もホームページや町広報誌への掲載、戸別訪問等による啓発活動を積極的に行い、管理基数を増やすことで使用料収入を増加させつつ、維持管理費用の削減方法等を検討していくことで、安定した経営をしていく。