経営の健全性・効率性について
令和元年度の決算は、令和2年度から地方公営企業法の適用により、3月末日で打切り決算を行っており、出納整理期間の収入支出が含まれていないため、例年の決算との比較は難しい。収益的収支比率、経費回収率については、過去5年間いずれも100%未満で、使用料だけでは賄いきれず、他会計からの繰入金に依存している状況である。前述のとおり、例年との比較は難しいが、どちらも右肩下がりの傾向であることから、適正な使用料収入の確保や汚水処理費の削減など、経営改善に向けた取組が必要である。企業債残高対事業規模比率については、類似団体平均値より上回っている状況であり、令和元年度は内水氾濫対策である雨水幹線の整備を行ったことから増加している。下水道(汚水)分については、ほぼ整備済みで耐用年数を迎えるものもないことから、新規の借り入れはないが、下水道(雨水)では雨水幹線の整備を行うため、今後は、微増する見込みである。汚水処理原価については、他の類似団体と比較すると、いずれも下回っており、効率的な汚水処理が実施されていると分析できる。水洗化率については、下水道処理区域内における水洗便所を設置して汚水処理している人口を示したもので、他の類似団体と比較しても高い割合となっており、引き続き水洗化の向上を図っていく。
老朽化の状況について
老朽化の状況については、令和元年度末において、法定耐用年数を経過している管渠はない。ただし、数年のうちに、法定耐用年数を経過する管渠が発生するため、今後は、管渠の改築等が必要となることが予想され、改築等の財源確保や経営に与える影響を鑑み、ストックマネジメント計画の導入等により、計画的な下水道施設の維持管理に努めていく必要がある。
全体総括
当町では、S63年の下水道の供用開始以来、一度も使用料の改定をしておらず、供用開始時の使用料を据え置いている状況である。下水道事業については、受益者負担の観点から、下水道使用料で賄うことが原則だが、処理区域の変更もなく、人口の減少とともに処理区域内人口も減少し、使用料収入の増加は見込めない状況である。近年、支出が収入を上回り、他会計からの繰入金の比率が年々上昇している状況であり、今後の下水道施設の改築等を考慮すると、下水道使用料の見直しも検討する必要がある。今後は、公営企業会計へ移行したことから経営状況を把握し、事業の継続を維持していくとともに、施設の維持管理のためにストックマネジメント計画の導入も検討する。