経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%を上回っているが、下降傾向となっており、今後増加する老朽化施設の更新財源の確保が課題である。③流動比率は、100%を上回っており、短期的な債務に対する支払能力に問題はない。④企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均値を大きく下回っているが、将来世代の負担が過大とならないよう、企業債残高を適正に管理していく必要がある。⑤料金回収率は大幅に低下したが、これは新型コロナウイルス感染症対策として基本料金を減額したことが要因である。なお、減額した基本料金分は一般会計より全額補てんされており、実質的な経営への影響はなく、減額分を給水収益に加えた場合の料金回収率は101.76%となる。⑥給水原価は、類似団体平均値を下回っているが、施設の老朽化に伴う修繕費や減価償却費などが増加したことで前年より上昇しており、今後も上昇していくことが見込まれる。⑦施設利用率は、新型コロナウイルス感染症の影響で給水量が増加したことから上昇した。しかし、この上昇は一時的なものと考えられ、今後は人口減少や節水型社会への移行等による給水量の減少が見込まれることから、将来の水需要を考慮しながら効率的な運用に努める必要がある。⑧有収率は、類似団体平均値を上回っているが、引き続き漏水調査や老朽管の更新などの漏水対策を行い、有収率の向上に努める必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は50%を超えており、法定耐用年数に近い資産が多いことを示している。②管路経年化率は類似団体平均値を上回っており、法定耐用年数を超えた老朽管が多いことを示している。更に、今後は高度経済成長期に布設した多くの配水管が耐用年数を迎えることから、管路更新ペースの向上が求められる。③管路更新率は類似団体平均値程度まで上昇してきているが、経年化率の上昇を緩やかにするためには、更新率の更なる向上を図る必要がある。
全体総括
新型コロナウイルス感染症の影響により先行き不透明な状況が続いているが、今後も水需要の低下や施設の老朽化等、経営状況は厳しさを増していく見込みであり、経営環境の変化を敏感にとらえながら事業運営していく必要がある。また、計画的な施設更新を行うため、アセットマネジメント計画の見直しや、料金改定を含めた様々な財源確保策の検討、費用の抑制を図っていく必要がある。