経営の健全性・効率性について
①経常収支比率100%を超えており、令和元年10月に使用料の改定を行ったことによる改善がみられるが、一般会計からの繰入金への依存度が比較的高く、経費回収率はまだ100%を下回っている点に留意する必要がある。②累積欠損金比率累積欠損金は発生していないため、0%である。③流動比率100%を下回っているが、管渠の整備途中であり、同意済みで未発行の企業債による収入を考慮すると、短期的な支払い能力は確保されている。④企業債残高対事業規模比率令和7年度概成に向けた管渠の整備に伴い、企業債現在高は増加したものの、使用料の改定や、一般会計負担額の増加により昨年度よりも減少となった。⑤経費回収率令和元年10月に使用料の改定を行ったことによる改善がみられるものの、現状本来使用料で回収すべき経費を賄えておらず、一般会計からの繰入金で補てんしている状況にある。また、「分流式下水道に要する経費」の影響を排除した場合の経費回収率は66.26%である。⑥汚水処理原価150円を超える部分については、「分流式下水道に要する経費」として一般会計から繰入れている。この影響を排除した場合の汚水処理原価は213.15円である。⑦施設利用率流域関連公共下水道であるため、処理場をもっていない。⑧水洗化率整備途中であるため、平均値を下回っている。経営健全化のために引き続き下水道への接続を促進させる取組が必要である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率平均値を大きく下回っているが、これは平成27年度に公営企業会計に移行した際に、資産を新たに取得したと見なして帳簿価額を決定している影響であり、建設から40年を超えて老朽化が進んでいる管渠が存在する点に留意する必要がある。②管渠老朽化率、③管渠改善率建設事業が昭和50年度から開始されたため、耐用年数に達した管渠が存在せず、更新も行っていないため、0%となっている。
全体総括
下水道事業を取り巻く経営環境は、急速な人口減少等に伴う有収水量の減少や管路施設の老朽化に伴う更新需要の増大など厳しさを増しており、事業を安定的に継続する上で、不断の経営健全化の取組が求められている。本市においては、経費回収率等の改善を図るため、令和元年10月から使用料を15%引き上げる改定を行った。それにより各指標に改善がみられるものの、使用料で回収すべき経費を賄えずに一般会計からの繰入金に依存している状況である。今後は、将来にわたり住民生活に重要なサービスを安定して提供することが可能となるよう、令和2年度に作成した「本庄市下水道事業経営戦略」により、収支の改善等を通じた経営基盤の強化を図ることが必要である。