経営の健全性・効率性について
「収益的収支比率」については100%を下回ったが、わずかであるため総収益で総費用及び地方債償還金を賄えている。「企業債残高対事業規模比率」は、分子の企業債残高から一般会計負担金を差し引くため0.00%となっている。R1決算に数値が入っているのは報告数値の誤りであり、本来は0.00%が正しい。起債償還のピークは過ぎており年々減少していく傾向にあるが、償還金は一般会計からの繰入金で賄っており、状況に変化はない。「経費回収率」が対前年度比で19.32ポイント増加し、「汚水処理原価」は対前年比で51.98円減少している。指標上は急激に改善しているように見えるが、これはR2年度に大きな修繕を行わなかったことと、大口使用者の影響により使用料収入が増えたことによるものである。今後は老朽化の進行による修繕の増が予想され、料金収入の増も一時的なものと考えられることから、今後は元の水準に戻ると考えられる。「施設利用率」は大口使用者の使用量増により前年度比で4.34ポイント上昇した。しかしそれでも類似団体平均値と比較すると6.24ポイント低く、これは施設建設時の当初計画から現状の処理区域へと変更(縮小)したことが影響している。水洗化率は100.00%を維持している。その理由は、群馬県企業局が分譲する板倉ニュータウンのみを処理区域としており、公共マスを整備してから分譲しているためである。
老朽化の状況について
施設は、供用開始から20年以上が経過し老朽化が始まり設備の修繕が増加している。ストックマネジメント計画(簡易版)を策定したため、今後は交付金制度を活用しつつ効率的かつ費用負担を抑制しながら改修、修繕を行う方針である。管渠は、本体については耐用年数に対し経過年数が少ないため修繕等は発生していないが、一部の人孔については修繕を必要とする所が出てきている。
全体総括
下水道事業については、県企業局の分譲する板倉ニュータウン区域のみに供用しており、事業経営はニュータウンの販売状況に影響されてしまう特殊事情がある。処理区域内で新たな工場が操業し始めたこと等に伴い汚水処理量が増え料金収入が増加したが、さらに経営健全化のために経費の節約に努めなければならない。経営戦略は策定済みであり、ストックマネジメント計画(簡易版)も策定したため、今後は交付金制度を活用しつつ効率的かつ費用負担を抑制しながらに改修、修繕を行う方針である。地方公営企業法の適用については令和5年からの適用を目指したい。