安中市
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人口の推移
財政比較分析表(2019年度)
財政力
財政力指数の分析欄
基準財政収入額、基準財政需要額とも増加となった。3ヵ年平均は、前年と変わらないが、単年度の数値は減少した(0.789→0.779)。依然として類似団体平均以上だが、法人税制の影響が大きいと考えられ、法人税割が強く歳入に余裕があるとの認識は、類似団体並みであると改め、歳出も類似団体並みに縮小することが急務である。
財政構造の弾力性
経常収支比率の分析欄
平成29年度・平成30年度・令和元年度と経常収支比率は改善してきているが、全国平均と比較すると依然として悪い数字であり、標準財政規模以上の経常経費充当一般財源を必要としている状態である。内訳を見ると、人件費の割合が高い状況にあるほか、病院事業負担金などの補助費等の金額が高止まりしていることなども影響していると考える。景気の動向に左右されやすい法人税割への依存度が高いことを考えると経常経費を今まで以上に削減しなければ、景気が悪化した際に経常収支比率が一気に悪化する可能性が高い。
人件費・物件費等の状況
人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄
退職手当の増加分を除けば人件費はほぼ昨年度と同じ水準となっている。基本給は減少傾向だが、時間外勤務手当が増加している傾向がある。物件費・維持補修費は昨年度とほぼ変わらないが、庁舎の老朽化による修繕料の増加なども見込まれるため、人口の減少に合わせて経費の削減が必要不可欠である。
給与水準(国との比較)
ラスパイレス指数の分析欄
例年通り類似団体平均とほぼ同じ数値となり、平均的な水準といえる。今後も国や近隣市町村の動向を踏まえ、給与の適正化に努める。
定員管理の状況
人口1,000人当たり職員数の分析欄
職員数は平成30:418人→令和01:414人と4人減少したが、市の人口も減少したため、人口1,000人当たりの職員数は増加する結果となった。現状は類似団体平均と同程度であるが、ここから乖離しすぎることのないよう注意し、事業の見直しや業務効率化を進めていきたい。
公債費負担の状況
実質公債費比率の分析欄
公債費は平成29年度から微増の30.1億円となり、比率は0.1ポイント悪化した。公債費は今後もしばらくは30億円近い水準で続く見込であり、標準財政規模150億円の約20%にもなる公債費は経常収支比率の改善が進まない要因の一つである。償還期間を短く設定することで、将来負担比率は好転していると考えられるが、類似団体の水準を一つの目安として新発債の抑制に計画的に取り組む必要がある。
将来負担の状況
将来負担比率の分析欄
充当可能財源の減(-8.8億円)以上に将来負担額の減(-19.1億円)となったため、将来負担比率は大幅に改善した。毎年の償還元金が大きいため、地方債現在高は今後も減少していく見込である。令和元年度は財政調整基金を取り崩すことはなかったが、例年は基金の取り崩しも行っているため、借金の返済のため貯金を取り崩している状況であり、そのバランス次第では改善から悪化へ大きく変動する可能性もある。
経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)
人件費
人件費の分析欄
退職手当の減(-1.7億円)により指標は0.9ポイント好転したと考えられる。退職手当を除けば人件費はほぼ昨年度と同じ水準となっている。基本給は減少傾向だが、時間外勤務手当が増加している傾向がある。今後の税収規模の縮小を考慮すると、人件費の削減が必要である。
物件費
物件費の分析欄
比率は同じだが、支出額ではわずかに増加した。全体的には少しずつ経費節減が図られているが、自治体の選挙等の避けられない支出やふるさと納税関係など年々増加してきている費用も存在する。今後も委託業務の見直し等、引き続き事務の改善に努め、数値改善に向け取り組みたい。
扶助費
扶助費の分析欄
扶助費の比率は0.8ポイント好転したが、扶助費自体は0.8億円の増加となった。類似団体平均より好転したが、依然として見直し・削減の余地があると思われる。現在の財政状況を考えると見直し・削減を進める必要がある。
その他
その他の分析欄
指標は0.1ポイント悪化した。繰出金は平成30年度と比較して0.4億円増加している。増加の要因の一つが介護保険特会への繰出の増加である。また、維持補修費については今後は老朽化した庁舎等に多額の経費が必要になる見込みであるため、施設の統廃合の議論を進め、特会の財政状況を注視し、経常経費削減に努めたい。
補助費等
補助費等の分析欄
指標は同じだが、平成30年度と比較して2.1億円の支出増となり、依然として全国平均よりも悪い状況である。数値を悪化させている要因の一つは病院事業への負担金であり、令和元年度は0.4億円増加した。病院事業ではこの状況を改善する取組を進めているところだが、効果が現れるまで年数を要する。既存の補助金等の見直しを同時並行で推進する必要がある。
公債費
公債費の分析欄
近年30億円前後の支出が続き、依然として経常一般財源に対する公債費の比率が高い状態が続いている。経常一般財源の2割近くを占める公債費は類似団体と比べても多く、将来負担比率を好転させるという面はあるものの、経常収支比率の改善を阻む一因ともなっている。今後も数年間は同水準の公債費が見込まれるため、起債対象事業の精査を厳しくし、地方債の発行抑制に努める必要がある。
公債費以外
公債費以外の分析欄
類似団体平均と同レベルまで指標は改善したが、この指標の改善に油断することなく、今後も経常経費を今まで以上に削減し、義務的経費を含むすべての経費において縮小の方向性で見直しに取り組んでいく必要がある。
目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)
議会費
労働費
消防費
諸支出金
総務費
農林水産業費
教育費
前年度繰上充用金
民生費
商工費
災害復旧費
衛生費
土木費
公債費
目的別歳出の分析欄
平成30年度同様に議会費、民生費、公債費で類似団体平均を超え、衛生費は類似団体平均を下回る結果となった。類似団体より手厚い分野が特定の目的に偏っている状態といえる。衛生費の減少はごみ処理施設の基幹的設備の更新が終了したためである。各項目で増減があるところ、公債費だけは増加を続けている。これは平成27年度まで学校施設の耐震補強等の事業が続いていた影響が大きい。今後も耐震性の低い庁舎の建て替え等、増加が見込まれる要因は多い。
性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)
人件費
補助費等
災害復旧事業費
投資及び出資金
物件費
普通建設事業費
失業対策事業費
貸付金
維持補修費
普通建設事業費(うち新規整備)
公債費
繰出金
普通建設事業費(うち更新整備)
積立金
前年度繰上充用金
性質別歳出の分析欄
平成30年度同様に主な経費では補助費等、物件費、普通建設事業費で類似団体平均を下回ったが、その差はわずかである。一方、他の多くの経費で類似団体平均を上回っている。経常収支比率の分析から考えても、経常経費が類似団体を上回っている費目が多いため、臨時的経費の影響は少ないと思われ、今後も同様の状況が続くと考えられる。令和元年度は市内企業の業績が好調だったことを受けて、経常収支比率は95.0%まで改善したが、本市の場合は歳入に占める法人市民税の割合が高いため、歳入構造は景気動向・企業業績に左右されやすく、現在の歳出状況の改善が必要不可欠である。公債費については類似団体平均との差が大きいが、これは過去に実施した学校施設の耐震補強等の際の起債で償還期間を短めに設定しているものが多いためである。
実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)
分析欄
実質収支は8.0億円から8.8億円に好転し、単年度収支もわずかながら黒字となった。令和元年度は財政調整基金を取り崩すことがなかったとはいえ、油断することなく早期に経常経費を是正し、基金の取崩しに依存した財政状況から脱却する必要がある。
連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)
分析欄
令和元年度においては一般会計は財政調整基金を取り崩すことなく黒字となり、各会計とも黒字を維持している。しかし、病院事業会計は依然として基準外繰入が多く(約4.6億円、標準財政規模比3.03%)、病院への基準外繰出が一般会計の財政を悪化させている要因の一つである。収支改善や改革の取組が引き続き喫緊の課題である。
実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)
分析欄
令和元年度は30億円強になる元利償還金が原因となり、前回に続き実質公債費比率は悪化した。ただし、令和元年度は建設事業の厳選により地方債発行額自体を大幅に抑えることができており、今後の公債費増加抑制にはある程度効果が期待される。今後は、公債費をコントロールする観点からも、建設事業量を計画的に管理し、平準化していくことが必要になっていく。
分析欄:減債基金
本市では満期一括償還地方債の借入は行っていない
将来負担比率(分子)の構造(2019年度)
分析欄
令和元年度は地方債発行が13.1億円に対し、公債費の償還元金28.9億円と償還額が大幅に上回ったため、地方債現在高は15.8億円減少し、比率も好転した。将来負担は新発債を抑制すればすぐに減少するが、新発債の発行状況によっては容易に比率が悪化に転じる状況である。財源の不足に対しては、交付税措置のない地方債に頼るより、税収の減少から考えても公債費以外も含めた歳出規模の是正が必要である。将来負担を増大させないために、基金に頼らず地方債残高を抑制することが重要である。
基金残高に係る経年分析(2019年度)
基金残高合計
基金全体
(増減理由)財政調整基金は平成30年度と比較して残高が増加(4.4億円)しているが、長期的に見れば、基金全体では主に財政調整基金の取崩しが増加し、基金残高は減少傾向にある。(今後の方針)財政調整基金は、歳入の変動に備えるため現在の水準を確保する。資産の有効活用のため、特定目的基金で役目を終えたものがあれば整理する方向で検討している。
財政調整基金
財政調整基金
(増減理由)経常経費の増加に対応する形で取崩しを行っている。令和元年度は取り崩しを行わなかったため、平成30年度と比較して4.0億円増加したものの、平成27年度(60億円強)と比較すると5.2億円も減少している。(今後の方針)本市の歳入は景気動向・企業業績に影響されやすい市税(法人市民税)の割合が高く、コントロールできないため、市税の減少が数年続いた場合に予算編成に支障が生じるおそれがある。歳出の抑制によって取崩しを減らし、現在の水準を維持したい。
減債基金
減債基金
(増減理由)近年の公債費の増加に対応して取崩しを行っていたが、他の歳入の状況等により平成29年度以降は取崩しを行っていない。なお、積立ができる状況ではないため残高は減少傾向となっている。(今後の方針)他の歳入や残高の状況を考慮しつつ、公債費の増加に対応するため取崩していく方針である。
その他特定目的基金
その他特定目的基金
(基金の使途)地域振興基金:市民の連帯の強化及び地域振興に充てるため職員退職手当基金:職員の退職手当の財源に充てるため庁舎建設基金:庁舎建設に必要な財源の確保に資するため福祉基金:安中市の福祉事業の推進を図るためふるさと創生基金:地域づくりに必要な財源の確保に資するため(増減理由)庁舎建設基金は庁舎の建て替えに備えて、平成28年度から毎年度1億円ずつ積み立てている。福祉基金は高齢者タクシー料金補助等の財源として取り崩している。福祉目的の寄付があった場合に積み立てを行うことがある。職員退職手当基金は一定のルールにより取崩しと積立を行っている。令和元年度退職者数が前年度より少なかったことから取崩し額が減り、残高は増加している。ふるさと創生基金はふるさと納税の目的に沿った事業へ充当するため積み立てたが、事業実施とともに取り崩す。(今後の方針)庁舎建設基金以外は減少していく見込みである。利子の積立しか動きのない基金が多数存在するため、資産の有効活用の観点から役目を終えた基金を整理する方向で検討している。
公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)
有形固定資産減価償却率
有形固定資産減価償却率の分析欄
有形固定資産の取得金額で道路が全体の半分以上を占めるが、その道路の中でも4割強が道路台帳が整備された昭和62年3月を取得年月日としているため、道路の有形固定資産減価償却率は類似団体平均より低い数字となっている。また、そのことが全体の有形固定資産減価償却率も引き下げていると推測される。
(参考)債務償還比率
債務償還比率の分析欄
平成27年度まで学校施設の耐震補強等の事業を集中的に行っていたため、地方債残高が大きくなり、分子である将来負担額を増大させてしまっていたが、地方債残高は徐々に減少傾向にある。しかし、今後も耐震性の低い庁舎の建て替え等、地方債残高の増加が見込まれる要因は多いため、慎重な財政運営を行う必要がある。
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
安中市では地方債を発行する際に交付税措置のない地方債は極力起債しないとの方針で地方債の発行を行っていること、償還期間が比較的短いこと、多額の事業費がかかると予想された学校等の耐震改修・大規模改修を平成27年度までに集中的に取り組んだ結果、事業はほぼ終了し、新発債の発行が抑止できていることなどから、地方債の発行額の割に将来負担比率が低くなっていると推測される。また、有形固定資産減価償却率については、前述のとおり、道路により数値が下がっていると推察される。
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
将来負担比率については上記の理由等により、比率が低くなっていると推測される。実質公債費比率については、類似団体の数値は年々減少していく中、安中市は増加を続けている。これは平成27年度まで学校施設の耐震補強等の事業が続いていたこと、比較的償還期間を短く設定した地方債が多いことの影響が大きいと考えられる。今後も耐震性の低い庁舎の建て替えなど、多額の起債が見込まれる事業が予定されており、公債費の増加が見込まれる要因は多いため、財政運営に気をつける必要がある。
施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)
道路
橋りょう・トンネル
公営住宅
港湾・漁港
認定こども園・幼稚園・保育所
学校施設
児童館
公民館
施設情報の分析欄
【道路】の有形固定資産減価償却率が類似団体平均より低い数字となっているのは、整備された時期が不明の市道について、道路台帳が整備された昭和62年3月を取得年月日としていること、それ以降も市道の新規整備や資本的支出を伴う修繕が続いているためと考えられる。【道路】の一人当たり延長については類似団体平均とほぼ変らないが、【橋りょう・トンネル】の一人当たり有形固定資産額が類似団体の平均より大きいのは市の立地条件として山地が多いためと推測される。道路と比較して橋りょう・トンネルは面積・延長当たりの新設・修繕にかかる費用が多額になるため、今後台帳の精査を行いながら、橋りょう整備についてしっかりと検討していく必要がある。【認定こども園・幼稚園・保育所】については市内の市立保育所2園ともに新築間もないため、有形固定資産減価償却率が低く、園数が少ないため一人当たり面積が少ないと推測される。【公営住宅】の一人当たり面積は類似団体平均の倍以上あるため、今後多額の修繕費が必要になることが予想される。今後は個別施設計画等により、適切に管理を行っていく必要がある。
施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)
図書館
体育館・プール
福祉施設
市民会館
一般廃棄物処理施設
保健センター・保健所
消防施設
庁舎
施設情報の分析欄
【一般廃棄物処理施設】一人当たり有形固定資産額は類似団体平均の3倍近い数値となっている。一部事務組合等での共同利用の場合は自治体の所有とならず、一般会計等の固定資産として計上されないため、本市のような市が所有している場合とは数値差が大きくなると考えられる。【庁舎】市民一人当たり面積が類似団体平均より多い。本市は合併前の市町の庁舎をそのまま利用しているが、庁舎の建て替えで面積を削減したり、合併後に支所を廃止・縮小等した団体との差だとも考えられる。庁舎建て替えの際には参考とすべき数値である。一方、【図書館】、【保健センター】等は合併前の施設をそのまま利用していても、類似団体平均より低い数値のものもある。安中市は市民サービスが不足している可能性も考えられるため、改修等の際には参考としたい。
財務書類に関する情報①(2019年度)
資産合計
負債合計
1.資産・負債の状況
平成30年度までと同様に令和元年度単年度の状況としては一般会計等、全体、連結のいずれにおいても資産が負債を大きく上回っている。全体財務書類で連結されている額が大きいが、これは公営企業会計のうち水道事業会計、次いで病院事業会計の額が大きいことによる。連結財務書類については、連結対象の規模が公営企業会計ほどではないため、全体財務書類との差は比較的小さくなっている。一般会計等では平成30年度から令和元年度にかけて、資産が1,933百万円減少し、負債が1,576百万円減少している。資産では、有形固定資産が建物(事業用資産)をはじめ874百万円増加したが、減価償却による減(3,529百万円)の影響が大きく、基金が増加したこと(401百万円)を加味しても大幅な減となった。負債では、地方債の減(1,577百万円)の影響が大きい。
純経常行政コスト
純行政コスト
2.行政コストの状況
令和元年度の一般会計等の純経常行政コストにおいては、経常費用22,563百万円となり、前年度比623百万円の増加(+約2.8%)となった。そのうち、業務費用は13,080百万円、移転費用は9,483百万円である。最も金額が大きいのは物件費等(8,343百万円、前年度比+123百万円)であり、純行政コストの約38.6%を占めている。今後は委託料の見直しを行う等、経費の抑制に努める。
本年度差額
本年度末純資産残高
本年度純資産変動額
3.純資産変動の状況
純資産残高については、「1.資産・負債の状況」のグラフと密接な関係(資産と負債の差の部分=純資産)があるが、棒グラフのメモリや原点について、1.のグラフとは異なることに注意が必要である。一般会計等は全体の半分以下しかないように見えるが、実際の差は10,523百万円(一般会計等の約11.3%)ほどである。一般会計等と全体の差は主に公営企業(中でも水道事業と病院事業)の額による。全体と連結の差が小さくなっているのは、第3セクター等で純資産がマイナスとなっているものがあるためである。一般会計等の平成30年度の状況と比較すると、純資産は356百万円の減となっている。これは平成30年度と比較して、純行政コストの増加(836百万円)した影響が大きいと考えられるが、財源も増加(817百万円)したため減少額は抑えられている。
業務活動収支
投資活動収支
財務活動収支
4.資金収支の状況
投資活動収支は主に公共施設等整備費支出に対する国県等補助金収入の収支と、基金の積立、取崩の収支で構成される。公共施設等整備費支出は地方債を財源とするものも多いが、地方債は財務活動収支に計上されるため、投資活動収支は通常マイナスとなる。令和元年度は一般会計等において平成30年度と比較してごみ処理施設整備が完了したことにより公共施設等整備支出が減少した(1,289百万円)。国県等補助金収入基金取崩収入の減少(863百万円)もあったが、投資活動収支では404百万円の減少となった。財務活動収支は地方債の償還と新規発行を収支としてみた場合の数値であり、ほぼ地方債残高の増減と同じである。令和元年度も一般会計で新規発行を抑えたためマイナスとなっている。業務活動収支は一般財源を含むため大きくプラスとなっており、投資活動、財務活動のマイナスを補填する構造となっている。業務活動収支で一般会計等と全体の差が大きいのは、水道事業会計及び病院事業会計の業務活動収支のプラスが大きいためである。その理由は一般会計と同じで、業務活動収入(水道料金)で投資活動、財務活動のマイナスを補填する構造があるためである。
財務書類に関する情報②(2019年度)
①住民一人当たり資産額(万円)
②歳入額対資産比率(年)
③有形固定資産減価償却率(%)
1.資産の状況
①、②により資産価額は類似団体より高く、③により類似団体に比べて減価償却の進んでいない資産が多いという状況が示されている。これは、平成30年度決算の状況と変わらない。主な理由とすると、平成27年度まで学校施設の耐震補強及び大規模改造事業を集中的に行ってきたこと、資産に占める道路の割合が高いこと(その道路の中でも4割強が道路台帳が整備された昭和62年3月を取得年月日としている)の影響があると考えられる。資産を多く保有するということは、将来の維持管理・更新に対して費用が発生する可能性が高いことから、個別施設計画等で施設を見直すにあたっては類似団体の水準を参考にしていきたい。
④純資産比率(%)
⑤将来世代負担比率(%)
2.資産と負債の比率
④より、平成30年度決算同様、資産に対する純資産の割合は類似団体平均値と比較して高い状況を維持している。これは資産形成の財源として負債(地方債等)に頼っていない状態であり、言い換えれば将来世代の負担を抑えられているといえる。⑤より、平成30年度決算同様、固定資産に対する地方債残高の比率は類似団体平均値と比較して低い状況であった。資産額は類似団体より高い水準であることから(①、②)、資産額が多い割に地方債残高が少ない状態といえ、④の状況とも整合する。これまでの地方債発行額は必ずしも少なくはないが、交付税措置のある地方債を選択すること、償還期間を比較的短く設定した借入が多かったことで、純資産の減少と負債の増加をともに抑制できたと考えられる。
⑥住民一人当たり行政コスト(万円)
3.行政コストの状況
⑥より、平成30年度決算では類似団体平均値との住民一人当たり行政コスト差は、住民一人当たり0.5万円であったが、令和元年度ではその差が住民一人当たり1.1万円と拡大した。また、令和元年度の類似団体平均値は平成30年度と比較し+1.3万円なのに対し、本市は+1.9万円と類似団体平均値と比べて増加額が大きくなっている。直近三年間で類似団体平均値を超える状況が続いているので、まずは類似団体の平均を目標とし、今まで以上にコストの削減を目指す必要がある。
⑦住民一人当たり負債額(万円)
⑧基礎的財政収支(百万円)
4.負債の状況
⑦より、平成30年度までは住民一人当たりの負債額は類似団体平均値を超えていたが、令和元年度では同数値を下回った。本市では地方債残高の約53.6%を臨時財政対策債が占めているため、特例地方債が含まれない⑤に対し、特例地方債が含まれて計算されている⑦のほうが差額は小さくなっている。⑧より、令和元年度は主に公共施設等整備費支出が減少したことで、基礎的財政収支は類似団体平均値を上回る状況となった。資産の増加につながる支出ではあるが、将来の更新等の費用の発生も考えられるため、個別施設計画等で適切な見直しを行っていく必要がある。
⑨受益者負担比率(%)
5.受益者負担の状況
⑨は平成30年度と比較すると同水準ではあるが、類似団体平均値をやや上回る結果となった。経常収益は昨年度から14百万円増加しているのに対し、維持補修費がそれ以上に増加しているため、今後も経常費用の削減とともに使用料及び手数料の設定、使用料等の減免の見直しなど、適切に行っていく必要があるといえる。