安中市
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人口の推移
財政比較分析表(2017年度)
財政力
財政力指数の分析欄
・基準財政収入額:市町村民税と固定資産税は増加したが、法人税割と地方消費税交付金が減少、全体でも減少となった(-0.4億円)。・基準財政需要額:需要額全体では減少となった(-0.8億円)。収入額・需要額とも同程度の減少だが、減少率は需要額の方が大きいため、単年度の数値は微増となった(平成28:0.781→平成29:0.783)。3ヵ年平均は、前回算定の3ヵ年に含まれる平成26単年度が多少低い数値(0.758)であったため、上昇した。依然として類似団体平均以上だが、その差は年々小さくなっている。法人税制の影響が大きいと考えられ、法人税割が強く歳入に余裕があるとの認識は、類似団体並みであると改め、歳出も類似団体並みに縮小することが急務である。
財政構造の弾力性
経常収支比率の分析欄
平成29年度の経常収支比率は100%を下回ったが、全国平均、県内平均と比較しても悪い数字である。今回の比率改善は一時的に経常一般財源が増加したためと考えるのが妥当であり、構造的な変革は起きていない。今後の法人市民税が税率の変更により減少していく可能性が高いことを考えると、経常経費を今まで以上に削減する必要がある。
人件費・物件費等の状況
人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄
住基人口は700人弱減少しており、これは大きな悪化要因になりえるが、平成28年度同様ごみ処理施設の設備改修中で定期修繕が発生していないため維持補修費は一時的に低い水準を維持していることにより、指標値は若干改善する結果となった。人件費は定年退職者の減による退職手当の減少により減少したが、それ以外の手当等はほぼ前年並みであった。維持補修費はごみ処理施設の改修(平成30まで)が終われば増加するほか、庁舎の老朽化により修繕料の増加もあるため、人口の減少に合わせて経費の削減が必要不可欠である。
給与水準(国との比較)
ラスパイレス指数の分析欄
類似団体平均とほぼ同じ数値となり、平均的な水準といえる。今後も国や近隣市町村の動向を踏まえ、給与の適正化に努める。※資料作成時点において平成29年度数値が未公表であるため、平成29年度の数値は前年度の数値を引用しています。
定員管理の状況
人口1,000人当たり職員数の分析欄
職員数は平成28:427人→平成29:427人で増減がなく、市の人口は減少したため、指標は悪化した。現状は類似団体平均と同程度であるが、ここから乖離しすぎることのないよう注意し、事業の見直しや業務効率化を進めていきたい。※資料作成時点において平成29年度数値が未公表であるため、平成29年度の数値は前年度の数値を引用しています。
公債費負担の状況
実質公債費比率の分析欄
公債費は平成28年度からさらに増加し29.8億円となり、比率は悪化した。今後もしばらくは公債費は30億円近い規模が続く見込であり、標準財政規模150億円の約20%を占める公債費は経常収支比率の改善が進まない要因にもなっている。類似団体の水準を一つの目安として新発債の抑制に計画的に取り組む必要がある。
将来負担の状況
将来負担比率の分析欄
充当可能財源の減(-5.5億円)とほぼ同程度に将来負担額の減(-5.7億円)となったため、将来負担比率は前年同数値となった。毎年の償還元金が大きいため、地方債現在高は今後も減少していく見込であるが、基金も取り崩している。借金の返済のため貯金を取り崩している状況であり、そのバランス次第では改善から悪化へ大きく変動する可能性もある。
経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2017年度)
人件費
人件費の分析欄
定年退職者の減により、比率は改善した。退職手当分を除けば昨年と同程度といえるが、経常収支比率が100%前後の状況を改善するには退職手当分以外の人件費の縮小が必要といえる。
物件費
物件費の分析欄
平成28年度に実施した数年サイクルの委託業務の減少が数値改善につながったが、全国平均に比べると改善の余地があるものと思われる。委託業務の見直しや臨時職員の削減等、引き続き事務の改善に努め、数値改善に向け取り組みたい。
扶助費
扶助費の分析欄
扶助費は増加から減少に転じたものの、類似団体平均より手厚い状況は変わっていない。単独事業や上乗せ分が多く、受益者負担が少ない、といった見直し・削減の余地があると思われる。現在の財政状況を考えると扶助費も見直し・削減を進める必要がある。
その他
その他の分析欄
数値は改善しているが、実際には維持補修費、繰出金ともに金額は増加しており、併せて約50,000千円の増である。今後は老朽化した施設に多額の経費が必要になる見込みであるとともに、高齢者の増加に伴い介護保険特会・後期高齢者医療特会への繰り出しも増加すると思われることから、施設の統廃合の議論を進め、また、特会の財政状況を注視し、経常経費削減に努めたい。
補助費等
補助費等の分析欄
病院事業に対する負担金がさらに減少したことなどから、数値は改善したが、県平均・全国平均よりも悪く、類似団体内順位も低い。この状況を改善する取組を進めているところだが、効果が現れるまで年数を要する。既存の補助金等の見直しを同時並行で推進する必要がある。
公債費
公債費の分析欄
平成28年度と比較して比率が多少改善したものの、依然として経常一般財源に対する公債費の比率が高い状態が続いている。経常一般財源の2割近くを占める公債費は類似団体と比べても多く、経常収支比率の改善を阻む一因となっている。今後も数年間は同程度の公債費が見込まれるため、地方債の発行抑制に努める必要がある。
公債費以外
公債費以外の分析欄
人件費、扶助費、物件費、補助費等が減少しているため、数値は改善したが、類似団体内順位は下位3分の1の範囲内である。平成29年度の経常収支比率の改善は、経常経費の削減よりは経常一般財源の増加によるところが大きいと考えられ、経常経費を今まで以上に削減する必要がある。義務的経費を含むすべての経費において縮小の方向性で見直しに取り組んでいく必要がある。
目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2017年度)
議会費
労働費
消防費
諸支出金
総務費
農林水産業費
教育費
前年度繰上充用金
民生費
商工費
災害復旧費
衛生費
土木費
公債費
目的別歳出の分析欄
議会費、民生費、衛生費、公債費で類似団体平均を超える結果となった。性質別の分析とは対照的に、類似団体より手厚い分野が特定の目的に偏っている状態といえる。平成28年度と比較して衛生費の増加が著しいが、ごみ処理施設の基幹的設備の更新による事業費増加によるものである。各項目で増減があるところ、公債費だけは増加を続けている。これは平成27年度まで学校施設の耐震補強等の事業が続いていた影響が大きい。今後もごみ処理施設の基幹的設備改修や耐震性の低い庁舎の建て替え等、増加が見込まれる要因は多い。
性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2017年度)
人件費
補助費等
災害復旧事業費
投資及び出資金
物件費
普通建設事業費
失業対策事業費
貸付金
維持補修費
普通建設事業費(うち新規整備)
公債費
繰出金
普通建設事業費(うち更新整備)
積立金
前年度繰上充用金
性質別歳出の分析欄
主な経費では補助費等、物件費、普通建設事業費で類似団体を下回ったが、その差はわずかである。一方、他の多くの経費で類似団体平均を上回っており、扶助費では年々類似団体平均との乖離が大きくなってしまっている。経常収支比率の分析から考えても、経常経費が類似団体を上回っている費目が多いため、臨時的経費の影響は少ないと思われ、今後も同様の状況が続く見込である。平成29年度は市内企業の業績が好調だったことを受けて、経常収支比率は98.2%まで改善したが、現在の歳出状況の改善が必要不可欠である。普通建設事業費については、平成28年度と比較して大幅な増加になってしまっている。ごみ処理施設の基幹的設備が更新時期を迎えたことが大きいが、各施設の統廃合・更新整備を計画的に進めていくことで、各年度での事業費を平準化し経常収支比率のが悪化しないように財政運営を行わなければならない。
実質収支比率等に係る経年分析(2017年度)
分析欄
実質収支が9億円から8.2億円に悪化し、単年度収支が赤字となっているが、財政調整基金の取崩し額がそれ以上に減少(平成28:12億→平成29:7億)しているため、実質単年度収支は改善している。財政調整基金の残高は連続して減少しているため、早期に経常経費を是正し、基金の取崩しに依存した財政状況から脱却する必要がある。
連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2017年度)
分析欄
各会計とも黒字を維持しており、また平成24年度以降の標準財政規模比の縮小傾向は平成28年度以降一部緩和している。しかし、一般会計の黒字は財政調整基金の取り崩しによるためである(7億円、標準財政規模比4.65%)。また、病院事業会計は平成28年度と比較して改善したものの依然として基準外繰入が多く(約4.6億円、標準財政規模比3.06%)、病院への基準外繰入が一般会計の基金取崩しの要因の一つである。収支改善や改革の取組が引き続き喫緊の課題である。
実質公債費比率(分子)の構造(2017年度)
分析欄
増加し続ける元利償還金が原因となり、前回に続き実質公債費比率は悪化した。原則として交付税措置のある地方債のみを発行することとしているが、財源不足に対応するため平成29年度も平成28年度同様に交付税措置のない地方債も発行せざるを得ない状況のため、算入公債費等による軽減も今後は以前ほど期待できないと考えられる。今後は、公債費の増加による財政状況の悪化を防ぐために建設事業量を計画的に管理し、発行額の抑制と平準化をしていくことが必要不可欠となると思われる。
分析欄:減債基金
将来負担比率(分子)の構造(2017年度)
分析欄
平成29年度は地方債発行が25.3億円に対し、公債費の償還元金28.2億円と償還額が上回ったため、地方債現在高は2.9億円と小幅ながら減少した。しかしながら、基金の取崩しにより充当可能財源も減少しているため、比率は平成28年度と同程度となった。将来負担は新発債を抑制すればすぐに減少する構造となっているが、公債費が増大してしまうこともあり、基金を取崩すような状況になってしまっている。新発債の発行状況によっては容易に比率が悪化に転じる状況である。財源の不足については、税収の減少から考えても、公債費以外も含めた歳出規模の是正が必要である。将来負担を増大させないために、基金に頼らず地方債残高を抑制することが重要である。
基金残高に係る経年分析(2017年度)
基金残高合計
基金全体
(増減理由)全体的には、主に財政調整基金の取崩しが増加し、基金残高は減少傾向にある。(今後の方針)財政調整基金は、歳入の変動に備えるため現在の水準を確保する。資産の有効活用のため、特定目的基金で役目を終えたものがあれば整理する方向で考えている。
財政調整基金
財政調整基金
(増減理由)経常経費の増加に対応する形で取崩しが増えており、平成27年度から10億円の減少となっている。(今後の方針)今後も残高が減少していけば、市税の減少が数年続いた場合に予算編成に支障が生じるおそれがある。市税(法人市民税)の割合が高い歳入はコントロールできないため、歳出の抑制によって取崩しを減らし、現在の水準を維持したい。
減債基金
減債基金
(増減理由)近年の公債費の増加に対応して取崩しを行っている。積立ができる状況ではないため残高は減少傾向となっている。他の歳入の状況等により平成29年度は取崩しを行っていない。(今後の方針)他の歳入や残高の状況を考慮しつつ、公債費の増加に対応するため取崩していく方針である。
その他特定目的基金
その他特定目的基金
(基金の使途)地域振興基金:市民の連帯の強化及び地域振興に充てるため職員退職手当基金:職員の退職手当の財源に充てるため庁舎建設基金:庁舎建設に必要な財源の確保に資するため福祉基金:安中市の福祉事業の推進を図るためふるさと創生基金:地域づくりに必要な財源の確保に資するため(増減理由)庁舎建設基金を平成28年度より1億円ずつ積み立てているほか、福祉基金は高齢者タクシー料金補助等の財源として取り崩されている。職員退職手当基金は一定のルールにより取崩しと積立を行っているが、平成29年度は退職者数が前年度より少なかったことから取崩し額が減り、残高は増加している。ふるさと創生基金はふるさと納税(クラウドファンディング)分の積立により増加している。(今後の方針)庁舎建設基金以外は減少していく見込みである。利子の積立しか動きのない基金が多数存在するため、資産の有効活用の観点から役目を終えた基金を整理する方向で考えている。
公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2017年度)
有形固定資産減価償却率
有形固定資産減価償却率の分析欄
有形固定資産の取得金額で道路が全体の半分以上を占めるが、その道路の中でも4割強が道路台帳が整備された昭和62年3月を取得年月日としているため、道路の有形固定資産減価償却率は類似団体平均より低い数字となっており、全体の有形固定資産減価償却率も引き下げていると推測される。
(参考)債務償還比率
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
安中市では地方債を発行する際に交付税措置のない地方債は極力起債しないとの方針で地方債の発行を行っていること、比較的短い期間で借り入れを行い元金償還額も大きいこと、平成27年度まで集中的に取り組んだ学校等の耐震改修・大規模改修が終了し、新発債の発行が抑止できているなどから、地方債の発行額の割に将来負担比率が低くなっていると推測される。また、有形固定資産減価償却率については、前述のとおり、道路により数値が下がっていると推察される。
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
将来負担比率については前述の理由等により、将来負担比率が低くなっていると推測される。実質公債費比率については、類似団体の数値は年々減少していく中、安中市は増加を続けている。これは平成27年度まで学校施設の耐震補強等の事業が続いていたこと、比較的償還期間を短く設定した地方債が多いことの影響が大きいと考えられる。今後も多額の起債が見込まれる事業が予定されており、公債費の増加が見込まれる要因は多いため、財政運営に気をつける必要がある。
施設類型別ストック情報分析表①(2017年度)
道路
橋りょう・トンネル
公営住宅
港湾・漁港
認定こども園・幼稚園・保育所
学校施設
児童館
公民館
施設情報の分析欄
【道路】の有形固定資産減価償却率が類似団体平均より低い数字となっているのは、整備された時期が不明の市道について、道路台帳が整備された昭和62年3月を取得年月日としていること、それ以降も市道の新規整備が続いているためと考えられる。【道路】の延長については類似団体平均とほぼ変らないが、【橋りょう・トンネル】の一人当たり有形固定資産額が類似団体の平均より大きいのは市の立地条件として山地が多いためと推測される。今後、台帳の精査を行いながら、橋りょう整備について再検討していく必要がある。【公営住宅】の一人当たり面積は類似団体平均の倍以上あるため、今後多額の修繕費が必要になることが予想されるため、個別施設計画等により、適切に管理を行っていく必要がある。
施設類型別ストック情報分析表②(2017年度)
図書館
体育館・プール
福祉施設
市民会館
一般廃棄物処理施設
保健センター・保健所
消防施設
庁舎
施設情報の分析欄
【一般廃棄物処理施設】有形固定資産減価償却率については本市の一般廃棄物処理施設は平成28年度から平成30年度で改修を行っているため、今後数値は減少すると考えられる。一人当たり有形固定資産額は類似団体平均の3倍近い数値となっている。一部事務組合等での共同利用の場合は自治体の所有とならず、一般会計等の固定資産として計上されないため、本市のような市が所有している場合とは数値差が大きくなると考えられるが、それを差し引いても多い。固定資産台帳上、改修された既存施設の取得価額が除却されずに残っているため、数値が膨らんでしまっている可能性もあり、固定資産台帳の内容の精査を進めていきたい。【庁舎】市民一人当たり面積が平均より多い。本市は合併前の市町の庁舎をそのまま利用しているが、老朽化した庁舎の建て替えで面積を削減したり、合併後に支所を廃止・縮小等した団体との差だとも考えられる。庁舎建て替えの際には参考とすべき数値である。
財務書類に関する情報①(2017年度)
資産合計
負債合計
1.資産・負債の状況
平成29年度単年度の状況としては一般会計等、全体、連結のいずれにおいても資産が負債を大きく上回っている。全体財務書類で連結されている額が大きいが、これは公営企業会計のうち水道事業会計、次いで病院事業会計の額が大きいことによる。連結財務書類については、連結対象の規模が公営企業会計ほどではないため、全体財務書類との差は比較的小さくなっている。一般会計等では平成28年度から平成29年度にかけて、資産が9.2億円減少し、負債が0.6億円減少している。資産は減価償却費の減少(34.4億円)が28年度から微増だったことに対し、基金の減少が少なかったこと(0.9億円)、建設仮勘定の増加が大きかったこと(11.1億円)のが大きく影響している。負債の減は地方債の減(2.9億円)の影響が大きい。
純経常行政コスト
純行政コスト
2.行政コストの状況
平成29年度の一般会計等の純経常行政コストにおいて人件費の伸び(平成28年度比3.2億円、約8ポイント増)が大きいが、これは、退職者の増による退職手当引当金繰入額の増(平成28年度比3.3億円、約261ポイント増)の影響が大きい。これは全体連結の各財務書類にも影響を及ぼしている。物件費等が最も大きな割合を占めているのは平成28年度と変わらないが、今後会計年度任用職員の制度が開始になることから、人件費の増、物件費等の減が予想される。
本年度差額
本年度末純資産残高
本年度純資産変動額
3.純資産変動の状況
純資産残高については、「1.資産・負債の状況」のグラフと密接な関係(資産と負債の差の部分=純資産)があるが、棒グラフのメモリや原点について、1.のグラフとは異なることに注意が必要である。一般会計等は全体の半分以下しかないように見えるが、実際の差は84.5億円(一般会計等の9.2%)ほどである。一般会計等と全体の差は主に公営企業(中でも水道事業と病院事業)の額による。全体と連結の差が小さくなっているのは、第3セクター等で純資産がマイナスとなっているものがあるためである。平成28年度の状況と比較すると、純資産は8.5億円の減となっている。これは平成28年度と比較して、純行政コストはほぼ変わらなかったのに対し、財源が9.8億円増えたため、平成28年度の純資産変動額19.1億円よりも減少の幅が少なかったと考えられる。
業務活動収支
投資活動収支
財務活動収支
4.資金収支の状況
投資活動収支は主に公共施設等整備費支出に対する国県等補助金収入の収支と、基金の積立、取崩の収支で構成される。公共施設等整備費支出は地方債を財源とするものも多いが、地方債は財務活動収支に計上されるため、投資活動収支は通常マイナスとなる。平成28年度は一般会計において基金の積立に対して取崩が8.4億円ほど多かったため、投資活動収支はマイナスであるものの小さい額だったが、29年度は基金の積立に対して取崩が0.9億円多いのみであり、投資活動収支は大きな額となった。財務活動収支は地方債の償還と新規発行を収支としてみた場合の数値であり、ほぼ地方債残高の増減と同じである。平成29年度も一般会計で新規発行を抑えたためマイナスとなっている。業務活動収支は一般財源を含むため大きくプラスとなっており、投資活動、財務活動のマイナスを補填する構造となっている業務活動収支で一般会計等と全体の差が大きいのは、水道事業会計及び病院事業会計の業務活動収支のプラスが大きいためである。その理由は一般会計と同じで、業務活動収入(水道料金)で投資活動、財務活動のマイナスを補填する構造があるためである。
財務書類に関する情報②(2017年度)
①住民一人当たり資産額(万円)
②歳入額対資産比率(年)
③有形固定資産減価償却率(%)
1.資産の状況
①、②により資産価額は類似団体より高く、③により類似団体に比べて減価償却の進んでいない資産が多いという状況が示されている。これは、平成28年度決算の状況と変わらない。主な理由とすると、平成27年度まで学校施設の耐震補強及び大規模改造事業を集中的に行ってきたこと、資産に占める道路の割合が高いこと(その道路の中でも4割強が道路台帳が整備された昭和62年3月を取得年月日としている)の影響があると考えられる。資産を多く保有するということは、将来の維持管理・更新に対して費用が発生する可能性が高いことから、個別施設計画等で施設を見直すにあたっては類似団体の水準を参考にしていきたい。
④純資産比率(%)
⑤将来世代負担比率(%)
2.資産と負債の比率
④より、平成28年度決算同様、資産に対する純資産の割合は類似団体平均と比較して高い状況を維持している。これは資産形成の財源として負債(地方債等)に頼っていない状態であり、言い換えれば将来世代の負担を抑えられているといえる。⑤より、平成28年度決算同様、固定資産に対する地方債残高の比率は類似団体平均と比較して低い状況であった。資産額は類似団体より高い水準であることから(①、②)、資産額が多い割に地方債残高が少ない状態といえる。④の状況とも整合する。これまで地方債発行は必ずしも少ないとはいえないが、交付税措置のある地方債を選択すること、償還期間を比較的短く設定した借入が多かったことで、純資産の減少と負債の増加をともに抑制できたと考えられる。
⑥住民一人当たり行政コスト(万円)
3.行政コストの状況
⑥より、平成28年度決算では類似団体平均値との住民一人当たり行政コスト差は、住民一人当たり0.2万円であったが、平成29年度ではその差が住民一人当たり0.8万円と拡大している。また、類似団体平均値は-0.7万円なのに対し、本市は+0.3万円と行政コストの削減がうまく行えていない状況である。人ロが同じ団体を仮定して比較した場合、総額で約4.7億円のコストが余計に発生していることになる。まずは類似団体の平均を目標とし、今まで以上にコストの削減を目指す必要がある。
⑦住民一人当たり負債額(万円)
⑧基礎的財政収支(百万円)
4.負債の状況
⑦より、平成28年度決算同様、住民一人当たり負債額は類似団体平均を超えている。⑤と整合しない結果のように思えるが、⑤では特例地方債(主に臨時財政対策債)が含まれていないのに対し、⑦では含まれて計算されているためである。本市の財政力指数は類似団体平均より高い状況であり、類似団体よりも臨時財政対策債の発行が多くなっている可能性が考えられる。平成29年度末時点で地方債残高の約49.38%臨時政対策債である。⑧より、平成29年度は主に公共施設等整備費支出が増加したことで、基礎的財政収支は類似団体平均を下回る状況となった。資産の増加につながる支出ではあるが、将来の更新等の費用の発生も考えられるため、個別施設計画等で適切な見直しを行っていく必要がある。
⑨受益者負担比率(%)
5.受益者負担の状況
⑨は平成28年度決算同様、類似団体平均とほぼ同水準ではあるが、5%弱という水準が適正な負担とはいえない。ただ本市では経常費用に含まれる移転費用が経常費用の約44%を占めるため、仮に分母から移転費用を除き業務費用のみとした場合、比率は8.0%と多少は好転するといえる。今後も使用料及び手数料の設定、使用料等の減免の見直しなど、適切に行っていく必要があるといえる。