経営の健全性・効率性について
経常収支比率(①)は130%を超えており、類似団体平均値を上回っている。また、累積欠損金(②)は今年度も発生しておらず、経営は概ね健全な水準にあると考えられる。しかし、今後経常収益の大幅な増加は見込めないことから、経費の抑制に努め、今後も健全な経営を維持していくことが必要である。流動比率(③)は、令和2年度より増加しており、流動負債に対する支払能力に問題はないと考える。企業債残高対給水収益比率(④)は、平成27年度より企業債の借り入れをしていないことから年々減少しており、類似団体平均値を下回っている。しかし、今後浄水場等更新整備に伴い企業債の借り入れを予定しているため、数年後は企業債残高規模が増加する見込みである。料金回収率(⑤)は100%を超えており、現行の料金水準は健全なレベルにあると考える。また、給水原価(⑥)は、年間総有収水量の減少により令和2年度より増加しており、類似団体平均値を下回っている。施設利用率(⑦)は、類似団体平均値を上回っており、施設規模・稼働率は概ね適正であると考える。有収率(⑧)は90%を超える高い水準を保っており、漏水対策の効果が表れていると考えられ、給水される水量が収益につなげられている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率(①)は年々増加しており、類似団体平均値を上回っている。施設の老朽化が進んでおり、今後は計画的な施設の更新が必要である。管路経年比率(②)は類似団体平均値を下回っているが、数値は上昇傾向にあり、今後法定耐用年数を超える管路は年々増加していくことが見込まれる。また、管路更新率(③)は0.26と低く、類似団体平均値を下回っている。今後は、法定耐用年数を超える水道施設や管路の増加が見込まれるため、水道ビジョンに基づき老朽化及び耐震化の両面から計画的な管路更新の必要がある。
全体総括
現在は、給水収益は安定し、経常収支比率も高く、経営に必要な経費を料金で賄えている。また、有収率も高く、給水量が利益に結びついている。経営の健全性や効率性から判断して、概ね健全な経営状況であると考えられる。その一方で、資産の老朽化が進んでおり、管路経年化率も今後増加が見込まれることから、計画的に管路の更新を行わなければならず、更新にあたっては、水道ビジョンに基づき更新費用の縮減、財政負担の平準化、最新技術の導入等に取り組むことで、経営の健全化・効率化を推進する。