地域において担っている役割
地域医療構想における回復期病床の必要性から、地域医療連携体制の確立のため以下の4つの役割を担っている。(1)入院設備の無い施設等の在宅医療を支援する後方支援病院、(2)回復期患者に対する入院加療の実施、(3)関係機関との連携による、保健予防・介護予防活動の推進、(4)平日夜間や日曜日など通常時間外の初期救急診療の実施。
経営の健全性・効率性について
類似病院と比較して、①経常収支比率は下回っている。これは旧病院解体に伴う固定資産除却費等が大きく影響している。一方、それ以外の指標においては、概ね類似病院を上回っている。また、⑤入院患者1日1人当たり収益は、類似病院比較で上回った。これは、平成31年1月に行われた病床機能変更(18床を地域包括ケア病床へ変更)によるものである。現状、良好な経営ではあるが、市からの補助金等が含まれていること、新病院建設に関する経費(減価償却費、企業債償還)の増大を考慮し、一層の収益確保に努める必要がある。
老朽化の状況について
①有形資産減価償却率は、類似病院と比較しても高い傾向であったが、平成29年度からは新病院の建設に伴い数値は大きく下回っている。②器械備品減価償却率は、類似病院と比較して高い傾向であったが、新病院建設に合わせて機器類の更新等も進んだことで数値は大きく下回っている。③1床当たり有形固定資産は、平成28年度までは類似団体の約半分の値であったことから、資産更新が十分進んでいなかったことが分かるが、平成29年度以降は新病院の建設や器械備品等の更新により大きく上昇している。今後は、適宜機器の更新を行うなど、更新された資産管理を適切に行っていく。
全体総括
当院は、公立病院として政策医療を担っている。地域医療提供体制の確保の観点から、高齢者医療を担う機能をあわせもつ病院として、地域との連携を強化していく必要がある。新病院は、保健センターや包括支援センターなどを併設しており、地域医療において当院の役割は一層重要になっている。現状、経営の健全性や効率性は、類似病院と比較して概ね良好であるものの、市からの補助金等を受けている状況であることから、一層の健全化・効率化に努める必要がある。政策医療については、経営に伴う収入をもって賄うことが困難であるため、事業の実施には一定の市の負担が必要となるが、地域医療の確保のため、適切な連携を図っていくこととする。