経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、令和元年度と比較し17.14ポイント上昇した。全国平均と比較すると4.69ポイント高く、類似団体平均と比較しても6.61ポイント高い。上昇の要因は、経常費用では主に宮城県広水の契約変更により受水費が減少したことで63,748千円の減額となった。経常収益では新型コロナウイルス感染症対策の影響により基本料金を免除したことに伴い給水収益が減少したものの、営業外収益では、新型コロナウイルス感染症対策に係る一般会計繰入金や高料金対策補助金が該当したことに伴い8,890千円の増額となった。②累積欠損比率は、未処理欠損金が発生していないため算定されなかった。③流動比率は、令和元年度と比較し344.62ポイント上昇し2,283.69%となった。類似団体平均や全国平均と比較しても高い比率であり、その主な要因は、単独の建設事業が減少したことによるものである。④企業債残高対給水収益比率は、令和元年度と比較し3.44ポイント下降した。類似団体平均や全国平均と比較しても低い比率である。要因は、新規の借入がなく着実に償還が進んでいることから比率が下降した。今後、人口減少が進み給水収益が減る中で、老朽施設等の更新に着手し、企業債を起こすことになった場合、比率の上昇は避けられない。⑤料金回収率は、令和元年度と比較し3.86ポイント上昇したが類似団体平均や全国平均と比較すると低い比率である。⑥給水原価は、令和元年度と比較し53.13円安くなったが類似団体平均と比較した場合は、41.57円高くなっている。要因は、経常費用が減少したことによる。また、本町では、自己水源が無く100%受水であり受水費に占める資本費が高い現況である。今後の水道料金については、「水道料金改定業務の手引き」を参考に検討したい。⑦施設利用率は、令和元年度と比較して2.98ポイント上昇した。類似団体平均や全国平均と比較すると下回っている。主な要因は、新型コロナウイルス感染症対策による外出自粛や海苔生産高が通年ベースに回復したことにより使用水量が増加した。⑧有収率は、令和元年度と同数値となった。類似団体平均と比較した場合は、18.05ポイント高くなっており、十分収益に結びついていると考えられる。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値と比較して0.61ポイント高い。②管路経年化率は、類似団体平均値と比較して2.91ポイント高い。これは、本町の給水面積が13.19㎢と東北一小さな町であることで、上水道の普及が早かったことによる。今後も、令和元年9月に策定した「施設更新計画」や「水道ビジョン」により、長寿命化や被害のなかった施設の耐震化などを継続していく。③管路更新率は、類似団体平均値と比較して0.53ポイント低いが、老朽化が進んでいることは認識している。しかし、これまでも統計単位未満の更新は計画的に行っており、今後も耐震化などの施設の更新を継続していく。
全体総括
収入においては新型コロナウイルス感染症対策の影響があったものの、主に高料金対策補助金が該当したことと、支出においては宮城県広水受水費の減額により、結果的に純利益を生み出すことができた。今後も「小さなまちに大きな安心をくらしを支える水道」を基本理念とし、町民や事業者等に丁寧に説明しながら、事業を進めたいと考えている。