経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、平成30年度と比較し10.89ポイント下降した。全国平均と比較すると14.19ポイント低く、類似団体平均と比較すると10.79ポイント低い。下降の要因は、分母が減少したが分子も大幅に減少したことによるもので次のとおりである。分母では、経常費用のうち「水道ビジョン」や「施設更新計画」の策定業務や災害復旧事業の完了に伴い委託料や資産減耗費が減少したため36,187千円の減額となった。分子では、経常収益のうち営業収益において新規の住宅着工が落ち着いてきたことから給水収益や加入金などが減少し22,623千円の減額となった。営業外収益では、高料金対策補助金などが減少し68,946千円の減額となった結果、分子全体で91,569千円の減額となった。経営改善に向けた取組みとしては収入面では全国的な推移と同様に給水人口の減少により給水収益の増加は見込めないが、冬場の海苔生産が好調な場合は若干の増加が見込める特色がある。また、高料金対策補助金が収入面に大きく影響する現況であるため、安定経営に向けた料金見直しが必要か検討をしていく。費用面では窓口業務の包括委託により効率化や人件費など費用縮減の実現が可能か検討し経営向上に努めていく。②累積欠損比率は、未処理欠損金が発生していないため算定されなかった。③流動比率は、平成30年度と比較し881.48ポイント上昇し1939.07%となった。類似団体平均や全国平均と比較しても高い比率であり、その主な要因は、東日本大震災以後、災害復旧・復興事業の完了や単費を投じての建設事業費用が減少したことによるものである。④企業債残高対給水収益比率は、平成30年度と比較し3.89ポイント下降した。類似団体平均や全国平均と比較しても低い比率である。要因は、新規の借入がなく着実に償還が進んでいることから比率が下降した。今後、人口減少が進み給水収益が減る中で、老朽施設等の更新に着手し、企業債を起こすことになった場合、比率の上昇は避けられない。⑤料金回収率は、平成30年度と比較し0.66ポイント上昇したが類似団体平均や全国平均と比較すると低い比率である。また、⑥給水原価は、平成30年度と比較し3.82円安くなったが類似団体平均と比較した場合は、97.04円高くなっている。要因は、経常費用が減少したことによる。また、本町では、自己水源が無く100%受水であり受水費に占める資本費が高い現況である。今後の水道料金については、「水道料金改定業務の手引き」を参考に検討したい。⑦施設利用率は、平成30年度と比較して1.97ポイント下降した。類似団体平均や全国平均と比較すると下回っている。主な要因は、震災による人口の減少と給水設備が節水型になっているためと考えられる。⑧有収率は、平成30年度と比較し0.09ポイント下降した。類似団体平均と比較した場合は、17.93ポイント高くなっており、十分収益に結びついていると考えられる。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値と比較して0.8ポイント高い。また、②路経年化率は、類似団体平均値と比較して3.43ポイント高い。これは、本町の給水面積が13.19㎢と東北一小さな町であることで、上水道の普及が早かったことによる。今後は、令和元年9月に策定した「施設更新計画」や「水道ビジョン」により、長寿命化や被害のなかった施設の耐震化などを継続し実施したいと考えている。③管路更新率は、類似団体平均値と比較して0.52ポイント低い。老朽化の状況については、施設、管路ともに進んでいることは認識している。東日本大震災からの復旧・復興事業が完了していることから、今後は耐震化などの施設の更新を進めたいと考えている。
全体総括
東日本大震災からの復旧・復興事業が本年度で完了した。今後も「小さなまちに大きな安心をくらしを支える水道」を基本理念とし、町民や事業者等に丁寧に説明しながら、事業を進めたいと考えている。