地域において担っている役割
当院では、地域住民の安心安全のため、内科、総合診療科、整形外科の外来及び入院を中心に、不採算部門の外来診療、24時間体制の救急医療、訪問診療等を提供するとともに、入院施設の無い隣接町と連携するなど、へき地医療拠点病院としての役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率が95.0%と過去5年間で最も高くなったが、累積欠損金比率が高いため、非常に厳しい経営状況である。さらに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による患者数の減少で、医業収支比率が74.3%と低く、補助金及び繰入金等、医業外収益に大きく依存する結果となった。また、医業収支比率が低水準の中、病床利用率は数値上大幅に改善しているが、これは令和2年度に病床数を削減したことによるもので、依然として類似病院平均を下回っているため、効率的な人員配置により、病床利用率を上げ、入院収益の増加につなげる必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び器械備品減価償却率は、地方創生臨時交付金等の活用により、器械備品の更新が進み、前年度より低下している。病院建物が平成12年3月完成と比較的新しく、器械備品の更新も計画的に行われているため、両比率とも類似病院平均を大幅に下回っている。1床当たり有形固定資産は、休床していた病床を削減したため、前年度に比べて大幅に増加し、類似病院平均を上回っているが、建物の占める割合が大きいため、短期間での改善は難しい状況である。
全体総括
常勤医師による診療が内科、整形外科のみであり、手術を行っていないことから、収益構造が脆弱である。将来的には、人口減少に伴う患者数の減少により、収益が減少することや、施設の老朽化により、経費が増加することが見込まれ、経常収支比率は悪化していくものと見込まれる。また、1床当たり有形固定資産が、類似病院平均を上回っていることから、施設の更新に当たっては、適正な規模を検討する必要がある。へき地医療拠点病院としての役割を果たしていくため、医療従事者の確保により入院患者受入れを増やし、業務委託の拡大等により経費を削減するなど、経営の改善に努めていく。