経営の健全性・効率性について
経常収支比率は全国平均、類似団体平均値を下回っているものの、100%を超えている状況が続いており、かろうじて費用を収益で賄えている状態である。流動化比率は昨年と比較して幾分改善しているが、依然として全国平均、類似団体平均を下回っている。企業債償還元金、利子が多額にのぼっているにもかかわらず、給水人口の減少に伴い給水収益が減少傾向にあることがその原因であると考えられる。給水収益に対する償還企業債残高の割合については類似団体平均を下回っているが、高止まり状態が続いている。給水収益が減少傾向にあるので建設改良に係る投資の規模に留意が必要である。料金回収率については全国平均、類似団体平均を上回ってはいるものの、基準外繰出金により収入不足を補填しているのが現状である。給水原価については全国平均、類似団体平均を大きく上回る結果となった。原因としては有収水量が減少していく中にあって、人件費、維持管理費等の経常経費が大きく減少しないことがあげられる。施設利用率についてはH28,H29とも60%を切り、類似団体平均を下回った。給水人口の減少に伴い平均配水量が減少傾向にある中で、現行の施設規模で対応しているためである。今後、施設のダウンサイジング等給水量に見合った施設規模を検討していくことが必要である。有収率については幾分改善傾向にあるものの、依然として全国平均、類似団体平均より低い状況が続いている。今後も各戸の漏水修理の周知徹底及び給・配水管、管末の漏水調査に努めていくこととしている。
老朽化の状況について
有給固定資産減価償却率は類似団体平均を下回っているものの、依然として高い状況にある。老朽管の更新は平成26年度で終了しているが、各種計測機器、浄水施設・設備等の老朽化が懸念される。今後見込まれる給・配水管、施設・設備等の更新においては、給水収益の状況を的確に見込み、投資規模の適正化を図りながら事業運営にあたる必要がある。あわせて、新発債の抑制、維持管理費等の固定経費の縮減等も徹底し、財源確保に努めていくこととしている。
全体総括
給水人口の減少による給水収益の減少傾向が続くなかにあって、人件費、浄水施設の維持管理経費等の固定経費、有形固定資産減価償却費、企業債償還利子等は大幅に減少しないと見込まれる。町財政も厳しさを増しており、収入不足を補填している基準外繰出金への影響も懸念される。今後は、中・長期的な展望を持ち、施設規模の適正化、施設の統廃合・合理化、経費縮減を図り、将来の水需要、施設・設備の更新投資を的確に見込みながら、持続可能な簡易水道事業の運営に努めていくこととしている。