経営の健全性・効率性について
平成31年4月1日より、地方公営企業法の全部を適用し、地方公営企業会計へ移行したことに伴い、平成31年3月31日をもって打切決算を行いました。収益的収支は年々微減傾向にあり、100%未満で単年度赤字が続いております。経費回収率については打切決算の影響を受けてやや上昇していますが、その影響を加味すると減少傾向が続いており、類似団体平均を下回る35%程度で推移していることから、汚水処理費の大半を繰入金に依存していることがわかります。直営の処理場を所有しているため経費が嵩むことや、それに見合う使用料収入を確保できていないことが主な原因と考えられます。企業債残高対事業規模比率については、打切決算の影響を受けて上昇していますが、その影響を加味すると概ね横ばいとなり、類似団体平均値の2倍以上の数値となっています。既に整備が完了しており、普及率は今後伸びないことや更新時期など総合的に考えると、現在の収入規模に対して企業債残高が過大になっていることを意味し、将来世代に対する負担が高くなっていく可能性があります。汚水処理原価は、打切決算の影響を受けて減少していますが、その影響を加味すると年々増加する傾向に変わりはなく、類似団体平均を上回っています。人口減少や節水意識の高まり等に伴う有収水量の減少により、相対の処理原価が増加傾向となっていることが要因と考えられます。今後も経費削減に努める経営努力が必要です。水洗化率は若干の増加傾向を示しているものの、類似団体平均と比較しても低い水準であることがわかります。増加の要因としては、施設整備が既に完了していることや新規水洗化の世帯が年間数件程度であることを考慮すると、未水洗化世帯の自然減等による影響が大きいものと考えられます。節水意識の高まり等により有収水量が減少傾向にあるため、投資効果を最大限に発揮し使用料確保につなげ、経費回収率や施設利用率、企業債残高対事業規模比率を改善するためにも、更なる水洗化率の向上が重要であると考えます。
老朽化の状況について
北斗市の漁業集落排水施設の供用開始は、平成11年度であり、処理場となる浄化槽(躯体)の標準耐用年数は概ね30年、管渠については50年となりますが、いずれも耐用年数を経過していないものの、処理場の機器設備類の耐用年数はさらに短く、設備によっては既に更新されているものもあります。標準耐用年数上では、管渠より先に処理場が更新対象となっていくことになります。既に整備完了となっており、維持管理と更新が今後の事業の中心となっていきます。供用開始経過年数から目立った老朽は進行していないと考えられますが、仮に更新するとなれば費用が嵩む処理場や関連設備に対して老朽化への意識を高めていかなければなりません。しかし、耐用年数が過ぎたからといって、そのまま対象となる施設や管渠をすべて入れ替えるというわけにはいきませんし、そのまま放置するというわけにもいきません。重要なことは施設の老朽化状況を的確に把握し、土地の利用形態の変化や住民のニーズに着目し、それぞれの時期でベストな更新・修繕を判断したうえで対処していく必要があると考えています。
全体総括
北斗市の下水道事業は、漁業集落排水施設事業のほか3事業をひとつの会計で経理しています。公営企業会計に移行し、発生主義の企業会計方式導入により、トータルコストを把握し経営状況をより明確にすることが可能となるため、これまでよりも詳細な分析を行い経営状況の的確な把握に努め、経営改善・健全化を促進していきます。また、事業の役割を踏まえ、持続可能な事業実施のため、施設の状況を客観的に把握・評価し、中長期的な施設の状態を予測しながら、施設を計画的かつ効率的に管理するために、「下水道長寿命化計画」や「機能保全計画」の策定や「アセットマネジメント」を導入するなど、各施設の将来劣化予測を行い、管渠等の更新・修繕等を含めた事業費の平準化や過剰なメンテナンスを回避する管理能力の向上を図るなど、経営改善に向けた取組の推進に努めます。