経営の健全性・効率性について
①②経常収支比率、累積欠損金比率平成28年度に使用料の改定を行っており、令和2年度の経常収支比率は100%を上回り、経常的収入のうち、約17%が基準外繰入金で賄われているが、これを除いても経常収支比率は106%となる。③流動比率類似団体平均値を下回っており、十分な資金を留保できていない。原因としては、平成19年度まで法非適用企業であったため流動資産を留保する考え方ではなかった点や、平成18年度より企業債の元利償還金がピークを迎え、償還財源として平準化債を活用していたことにより、自己財源に乏しかった点が要因している。流動比率改善のため平成28年に使用料改定を行い留保資金の確保に努めているが、今後も現行料金の見直しを行う必要がある。④企業債残高対事業規模比率類似団体平均値よりは低いものの、更新需要の高まりにより今後も増加が考えられるため注視が必要である。⑤⑥経費回収率、汚水処理原価経費回収率は平均値より高水準であるが、今後処理場費の高騰も考えられるため注意する必要がある。⑦⑧施設利用率、水洗化率一部合流区域があり、雨水の流入があることに加え、老朽化も進行し不明水も増えていることから、今後の経費増加を防ぐため、現在実施している不明水対策等を継続して行う。
老朽化の状況について
①②③有形固定資産減価償却率、管渠老朽化率、管渠改善率有形固定資産減価償却率は会計基準見直しの影響により、みなし償却を廃止したため、増加している。管渠については50年を経過する管渠も出てきており、償却率や老朽化率が進行していることが伺える。長寿命化計画による管渠更生等の更新を進めており改善率は平均値より高いが、供用開始が昭和30年代のため、更新需要の増加が他自治体より早く訪れることからも計画的な更新が必要となっている。
全体総括
当市の下水道事業は、事業認可が昭和30年代と北海道の同規模自治体と比較すると早く、普及率も概ね高水準で推移しているが、特別会計からの移行時に十分な留保財源を保有していなかったため流動性が低くなっている。また、元利償還金も高水準での償還が続いていることから、自己資金の確保が依然として課題となっている。今後も老朽化による更新や、施設の耐震化など、更新・改築に伴う経費の増加が考えられることから、引き続き現行料金の見直しや経費の縮減を図りながら、安定的な経営の継続を進めていく。