地域において担っている役割
当院は国保健康保険診療施設として設置され、当市人口の約3割が国民健康保険加入者であり、かつ、当院の外来患者の約28.6%が当該保険被保険者の利用がある。また、市の委託事業として、特定・長寿健康診査、人間ドック、各種ガン検査等を実施し、年々受検者も増加し、市民の健康づくりを担っている。なお、当院は救急告示病院としての機能も持ち、救急自動車搬送や時間外の患者受入を365日実施している。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率・②医業収支比率・③累積欠損金比率について、平成29年度は入院・外来ともに患者数が減少したことで経常収益も大幅に減少し、一方で、経常費用が前年度並みだったことにより各比率が悪化した。前年度に一般会計からの繰出基準を見直したことにより、経常収益が増加し各比率が改善されたものの、患者数の減少傾向は依然続いており、料金収入も年々減少している。今後も引き続き、内科医師の確保を最優先課題と位置づけ、職員の接遇力の向上やスキルアップを図るとともに、材料費の過剰在庫削減等による歳出削減の徹底に努め、効率的かつ健全な病院経営を強力に推進していく。また、新公立病院改革プランに掲げる病床機能転換の導入により増収につなげ、一般会計繰入金への依存度を少しでも解消すべく、収益向上に努めていく。⑤入院患者1人1日当たり収益(円)⑥外来患者1人1日当たり収益(円)については、医師数減少や土曜診療の休止に伴い、平成22年度以降は、外来患者は減少を続け、入院患者も増減を繰り返すなど、不安定な状況が続いている。今後、人間ドックや健診等の受検者へ積極的に受診勧奨を行うことで新規外来患者の獲得につなげると共に、平均在院日数の短縮による13:1の基準適用や看護体制の効率化を図り、入院収益増加を目指す。
老朽化の状況について
施設については、昭和53年7月に竣工し、築40年を経過している。耐震基準は満たしているものの、老朽に伴う破損等も増え、その都度修繕や補修で対応しているが、配管等は修繕等が困難であり、今後当該箇所への対応が懸念される。また、医療機器等については、平成29年度末現在で、約73.1%が耐用年数を経過している状況であるが、平成28年度策定の医療機器等の更新整備計画に基づき更新等を進めた結果、前年度比較で3.9ポイント減少した。今後も引き続き当該計画に基づく更新整備を進め、また、計画外の医療機器等についても、診療等に支障を来さぬよう日頃の管理を徹底し、市民に良質かつ安定した医療サービスを提供できる診療体制の維持に努める。
全体総括
えびの市病院事業における各経営指標の悪化は、年々顕著に低下する入院患者、外来患者数の減少による医業収益の減少と歳出抑制が進まないことが主な要因である。収益増を図るための医師確保が進まないことに加え、市の人口減少も重なり、即効性があり、かつ、継続的な新規患者獲得のための方策がなかなか打ち出せない状況にある。今後は、平成28年度策定の「えびの市立病院改革プラン」に基づき、近隣医療機関との連携、病床機能転換等による経営の効率化を積極的に図りながら、宮崎県地域医療構想を踏まえた当院の果たすべき役割を明確にし、持続的で切れ目のない医療連携が可能な地域医療体制の構築に努力していく。