地域において担っている役割
・救急医療・小児医療等の不採算部門に係る医療の提供・へき地等の民間医療機関の立地が困難な過疎地における一般医療の提供・災害拠点病院として災害時に係る医療の提供・基幹型研修病院と連携した初期研修医及び後期研修医(専門医研修)の受入れ体制の整備・急性期医療を担う病院として脳卒中・急性心筋梗塞の疾病対応・糖尿病患者の多い地域であり、専門外来の開設や教育入院による重症化防止・令和2年2月20日付けで熊本県指定がん診療連携拠点病院の指定(令和2年4月1日から4年間)を受け、専門外来や化学療法等の医療提供・第二種感染症指定医療機関として、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れを行っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率及び②医業収支比率ともに類似病院平均を下回っており、令和元年度決算では、常勤医師の減(10名→8名)及び新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるため、4階病棟を空床化したことにより、医業収益が減少したため、①は2.1%、②は4.3%減少した。③累積欠損金比率は、令和元年度決算において純損失が61百万円増加したことにより、145.7%と類似病院平均を25.2%上回っている。④病床利用率は、令和元年度決算では、常勤医師の減及び4階病棟空床化により、59.8%と類似病院平均値を10.6%下回っている。⑤⑥入院・外来患者1人1日当たり収益は、開院後、上昇傾向にあり、特に⑥外来患者1人1日当たり収益については、診療報酬加算に向けた取組みにより、類似病院平均値を26円上回っている。⑦職員給与費対医業収益比率は、令和元年度決算では、医業収益の減により、類似病院平均を11.4%上回っている。⑧材料費対医業収益比率は、令和元年度決算では15.3%と類似病院平均を2.2%下回っている。
老朽化の状況について
①有形固定資産原価償却率は、令和元年度決算は36.3%と類似病院平均を18.3%下回っている。②器械備品減価償却率は、開院時(H26年8月)に導入した医療機器の償却終了により、令和元年度決算は80.8%と類似病院平均を9.1%上回っており、令和2年度以降、電子カルテ等の高額機器の更新を予定している。③1床当たり有形固定資産は、類似病院平均を5,290,005円上回っている。
全体総括
平成26年8月の移転開院後、常勤医師の不足、移転新築に係る経費、退職引当金の増等により、純損失762百万円でスタートしたが、平成27年4月には常勤医師が10名(歯科医師1名含む)となり、入院・外来ともに患者数は増加傾向にある。令和元年度決算は、常勤医師の減(10名→8名)及び新型コロナウイルス感染症患者の受け入れを行うため、4階病棟を空床化し、病床確保を行ったことから医業収益が94百万円減少したため、純損失が377百万円となった。令和元年度は、4月からは耳鼻咽喉科の開設、熊本県がん診療連携拠点病院指定に向けた取組みや算定率向上システムを活用した診療報酬加算に向けた取組みも実施している。今後も阿蘇圏域の中核病院として、新型コロナウイルス感染症対応をはじめ、常勤医師の確保を最重要課題とし、診療報酬加算に向けた取組みや医業費用の圧縮を図り、経常黒字化を目指す。