経営の健全性・効率性について
本市水道事業の経営状況について、H28年度には熊本地震の被災に伴い数値の減があったものの、経常収支比率や料金回収率は100%を超えるなど震災以前の数値まで回復に至った。人件費の削減や業務の一部委託等の経常費用を抑える効果が数値にも良い影響を与えている。給水原価についても豊富な地下水源を有していることや施設利用率についても適正規模での運用ができていることで、類似団体との比較では概ね良好と考えている。現在、水道事業会計の借入金残高は平成30年度末で約18.6億円あり、今後は毎年約1.5億円を償還して行かなければならない。また、老朽化している施設の更新も控えていることから、料金体制の見直しなど、企業債残高の給水収益比率を見てもいかに借入金に依存せず資金を確保するかがこれからの課題となっている。
老朽化の状況について
水道局管理分の給水管を含めた管路の老朽化が顕著となっており、漏水量の増大から有収率の低位推移が依然として経営上の問題となっている。本市においても、毎年度(H26:2.1千m・H27:0.8千m)管路更新を進めていたが、災害復旧事業をメインに取り組むこととなり、H28~30年度において管路更新率が0%となっている。H28・29年度に管路経年化率は10%を越えており、H30での数値の減も管路延長が伸びたことによるものであり、老朽管の更新工事は過去3年度実施が出来ていない。災害復旧事業の目途がついてからの取り組みとなる予定であり、今後も限られた予算の範囲の中で計画的に経年管の更新を行う必要がある。
全体総括
全体的に熊本地震の影響で数値の減が見られた項目についてもほぼ災害以前の数値まで回復したが、今後、施設・管路の老朽化や将来的に水道需要者数は減少し、水道料金の収入も減少していく中で、各水道施設では更新時期を迎え、過去の建設改良費の元利償還金や既設施設・老朽管の更新等の経費が増えていくことが予想される。今後、さらなる改善策として、水道事業の「経営戦略」を作成予定であり、併せて動力費や修繕費などの経常コストの節減や、漏水調査・施設の効率的な稼働による有収水率の向上などに取り組んでいき、料金改定を念頭に置いた経営基盤の改善・安定化を目指していく。