経営の健全性・効率性について
本市水道事業の経営状況は、平成17年の町村合併以来、上水道の料金収入においてはほぼ横ばい、簡易水道においては、微少傾向にあります。H24年度には、九州北部豪雨の影響で20,985千円の欠損金の計上や、H28年度には熊本地震の被災に伴い、修繕費や材料費・賃借料などの経費が大幅に増え、経常収支・料金回収率などで数値の減があったものの、人件費の削減や業務の一部委託等の経営の効率化を図ることにより、H24年度以外では毎年度2~50,000千円の利益剰余金を計上しております。現在、水道事業会計の借入金残高は平成28年度末で2,015,568千円あり、今後は毎年約1.5億円の償還をして行かなければなりません。また、老朽化している施設の更新も控えていることから、事業広域化等によるコスト削減、料金体制の見直しなど、いかに借入金に依存せず資金を確保するかがこれからの課題となります。
老朽化の状況について
H28年度は熊本地震の被災により、水道料金の減免措置(5月分・全件全額減免△40,420千円)による給水収益の大幅減などが影響し「有収率」の減、「給水原価」の増となりましたが、それ以前からの1次側の漏水に起因する有収水率の低位推移が依然として経営上の問題となっています。本市においても、毎年度(H26:2.1千m・H27:0.8千m)管路更新を進めていましたが、災害復旧事業にメインで取り組むこととなり、H28年度の管路更新率が0%となっています。今年度以降も老朽管の更新工事は災害復旧に目途がついてからの取り組みになる予定ですが、H28年度には管路経年化率が10%を越えており、今後も限られた予算の範囲の中で計画的に経年管の更新を行う必要があります。
全体総括
H28年度においては、熊本地震の影響が損益計算書上の悪影響が見られますが、将来的に水道需要者数は減少し、水道料金の収入も減少していく中で、各水道施設では更新時期を迎え、過去の建設改良費の元利償還金や既設施設・老朽管の更新等の経費が増えていくことが予想されます。今後、さらなる改善策として、水道事業の「経営戦略」をH30年度を目途に作成予定であり、併せて動力費や修繕費などの経常コストの節減や、漏水調査・施設の効率的な稼働による有収水率の向上などを行う必要があります。