経営の健全性・効率性について
経常収支比率について、当年度及び過去5年間において、単年度収支が黒字であることを示す100%を超え、累積欠損金比率も0%であり、支払能力を示す流動比率も類似団体及び全国平均と比較し高い値を示していることから、比較的安定した経営状態であると考えられる。債務残高については、直近で浄水場や配水池の改築事業を行ったことにより全国平均と比較し高い値を示しているが、徐々に減額している状況にある。料金回収率については、類似団体等と比較して低く、給水原価については、類似団体等と比較して高額となっているが、これは、当市が地理的な条件により水源が乏しい地域で、他の地域からの受水で賄っている状況であることから、総費用のうち受水費が大きな割合を占め、大きな負担となっている等の理由によるものである。しかし、当市は高料金対策の地域に該当し、国が示す繰出基準に基づき一般会計からの基準内繰出金を受けることで、収益を確保できている状況にある。なお、令和元年10月に、これまで地域ごとに異なっていた料金を統一したことから、給水収益の増加が見込まれ、料金回収率は一定の改善が図られるものと考えられる。施設利用率については、年々低下してきているが、類似団体等と比較して高い値を示しており、施設を有効活用できているところである。有収率については、漏水調査の実施や老朽化した配水管の更新事業等により徐々に回復をしている状況であるが、類似団体等と比較し低い値を示しており、更なる改善を図る必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が類似団体等と比較して高い値を示し、年々数値が上昇していることから、法定耐用年数を迎える資産が多くなっていることを表しており、今後、計画的に老朽資産の更新を図っていく必要がある。管路経年化率については、類似団体や全国平均より高い値を示しているが、高度成長期に大規模整備を行った管路等が耐用年数を迎えてきていることによるものである。管路更新率は、老朽管布設替工事等の実施により向上しているが、耐用年数を迎える管路が増加していることから、これまで以上に管路等の更新を行っていき、管路更新率の改善を図っていく必要がある。
全体総括
平成16年の4町合併による上天草市の誕生以降、旧町ごとに異なっていた水道料金を、令和元年10月に統一したことにより、給水収益の増加が見込まれることから、料金回収率等の改善が図られるものと考えられる。しかし、当市は他地域からの受水により賄っている状況で、供給団体の料金値上げにより、給水原価の上昇が予想され、経営の更なる改善を図るためには、更なる料金の改定が必要であると考えられる。また、高度成長期に整備を行った管路等が耐用年数を迎えてきており、計画的に老朽化した送・配水管の更新を進めて、有収率の向上及び管路の耐震化等を進めていく必要がある。なお、経営戦略については、平成29年3月に策定済みである。