経営の健全性・効率性について
・「経常収支比率」は、100を超えてはいるが、経常収益を見ると、一般会計補助金に依るところが大きい。基本的に経常費用の不足分を一般会計補助金で補填するため、経常収支比率は100付近で横這いとなる。・「累積欠損金比率」は、0を継続しているが、経費回収率は低く、不足分は一般会計補助金で補填している状況にある。・「流動比率」は、現在浄化槽整備推進中であり、企業債償還額の増加に伴い流動負債も増加するため、今後は流動比率の減少が予想される。・「経費回収率」は、小型の浄化槽1基あたりの管理コストが実収益より多くかかっており、設置基数が増えるにつれ、経費回収率は下がる傾向にある。将来に向けての検討が必要。ただし令和2年度は2ヶ月検針導入の関係で使用料収入が11月分となっており、単純な比較はできない。・「汚水処理原価」は、増加しているが、類似団体平均以下に止まっている。ただし令和2年度は2ヶ月検針導入の関係で年間有収水量が11月分となっており、単純な比較はできない。・「施設利用率」は、浄化槽は戸別設置のため、世帯員数に影響される。社会的に核家族化や人口減少が進んでおり、基本的に減少傾向となる。・「水洗化率」については、現在整備推進中により増加傾向にあり、健全経営が図れるよう、引き続き普及推進に努める必要がある。
老朽化の状況について
当市の特定地域生活排水処理事業(市営浄化槽事業)は、平成21年から開始しており、現在も整備推進中である。(計画期間~令和12年度)・「有形固定資産減価償却率」は、類似団体平均とさほど変わらない状況にあるが、施設としては比較的新しいと言える。今後も長寿命化を図りながら、適正管理に努める。・浄化槽本体の耐用年数は30年であることから、未だ改修には至っていない。
全体総括
類似団体平均と比べた場合、比較的良好な経営状態にあるといえる。平成29年度より公営企業法の適用を受け4年が経過しており、令和3年5月には経営戦略の改定を行ったが、下水道事業の健全経営を継続するためには、長期的な視点での経営判断を定期的に行っていく必要があると考える。今後の課題として、小型の浄化槽の汚水処理費をどう取り扱うかが経営健全化の鍵となるので、業務委託の形式等を含め総合的に検討し、取り組んでいく必要があると考えている。