経営の健全性・効率性について
・「経常収支比率」は、100を超えてはいるが、経常収益を見ると、一般会計補助金に依るところが大きい。近年の経常収支比率の増減も、同じく一般会計補助金に依っている。・「累積欠損金比率」は、0を継続しており、経費回収率から見ても、問題ない状況と言える。・「流動比率」は、工事の多くが繰越となり、未払金が昨年度より大幅に減少したために増加したように見えるが、基本的には施設整備推進に伴う企業債償還額の増加により流動負債も増加するため、今後は流動比率の減少が予想される。・「経費回収率」は、類似団体平均と比べて良いが、今後の整備推進に伴い処理効率が上がるため、さらなる上昇が見込まれる。・「汚水処理原価」は、単発の高額修繕の発生により跳ね上がっているが、その分を除けば類似団体平均を下回る。また今後、現在増設中の処理槽が稼働した場合は運転経費が倍槽するため、一時的に数値が高くなることが予想される。・「施設利用率」は、整備推進中のため、確実な伸びが見られる。ただし、現在増設中の処理槽が稼働した場合は処理能力が倍増するため、一時的に数値が低くなることが予想される。・「水洗化率」は、着実に伸びてはいるが、後継者がいない高齢者世帯や経済的に厳しい世帯は接続が困難な現実があり、単独浄化槽の転換と合せて、今後の接続率向上の取組みが重要になると考える。
老朽化の状況について
当市の公共下水道事業は、平成16年から開始しており、現在も管路布設および終末処理場の処理槽増設を推進中である。(計画期間~令和9年度)・「有形固定資産減価償却率」は、施設稼働から15年目であるが、類似団体平均を上回っている。令和3年度にストックマネジメント基本計画を策定、令和4年度に施設点検を実施しており、今後は改修計画による効果的な改修を図るよう進めて行く。・「管渠老朽化率」および「管渠改善率」は、管渠の耐用年数が50年であることから、未だ改修には至っておらず、ともに0である。
全体総括
類似団体平均と比べた場合、比較的良好な経営状態にあるといえる。平成29年度より公営企業法の適用を受け5年が経過しており、令和3年5月には経営戦略の改定を行ったが、下水道事業の健全経営を継続するためには、長期的な視点での経営判断を定期的に行っていく必要があると考える。今後の課題として、接続率の向上が経営健全化の鍵となるので、国の施策等を踏まえて総合的に検討し、取り組んでいく必要があると考えている。