経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、⑤料金回収率が平成26年度に大幅増となっているが、主な理由として、当企業団の施設が平成26年度時点で供給開始から17年経過しており、機械施設、電気施設が法定耐用年数(16年)を経過しているため、平成26年度の減価償却費から長期前受金を減額した額が、平成25年度と比べ約3千7百万円減で、経常費用が大幅減となったためである。②の累積欠損金比率は、過年度に一度も欠損金が発生していないため0%である。③の流動比率が平成25年度を除き全国平均よりも低いのは、未払金処理をした工事代金等が大きかったためであり、平成25年度は、逆に未払金処理を行った工事代金等が少なかったためである。④企業債残高対給水収益比率、⑥給水原価は全国平均よりも高くなっている。これは、当企業団が耶馬渓ダム(国土交通省)、伊良原ダム(福岡県)を水源とし、19,000㎥/日を京築地域2市5町に供給する計画であるが、伊良原ダム完成の遅れにより(平成29年度末完成)、送水計画一日19,000㎥のうち、平成9年度より耶馬渓ダム分の一日9,500㎥での営業を開始し、計画の半分の送水量で維持管理の費用等を賄っているためである。⑦施設利用率がほぼ変わらないのは、責任水量制により決められた水量を供給するので、平均供給水量はほとんど変わらないためである。⑧の有収水量が100%と変わらないのは、供給した水量が、すべて料金として反映されているためである。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率をみると、当企業団は全国の類似団体の平均よりも低い。これは、前段でも説明したとおり、当企業団の施設が平成26年度時点で供給開始から17年しか経過していないことが挙げられる。平成26年度に率が上がっているのは、公営企業会計基準の改正により、みなし償却(資産取得価格から、資産の取得等に充てるため公布された補助金等を除いた価格での減価償却)制度の廃止され、取得価格の全額を減価償却することとなったためである。②管路経年化率、③管路更新率については0%であるが、送水管の法定耐用年数が40年であり、供給開始から17年しか経過していないためである。総務省からの指標では示されていないものの、機械施設及び電気施設のほとんどが、既に法定耐用年数(16年)を経過している状況である。
全体総括
平成9年度より一部水道用水の供給を開始したが、伊良原ダム完成の遅れにより、一部完成した施設を送水計画の半分(9,500㎥/日)でしか活用ができていない状況である。現在、ダム本体工事が進んでおり、平成30年度より全量供給開始予定である。送水管は、法定耐用年数(40年)まで期間があるものの、機械施設及び電気施設のほとんどが既に法定耐用年数(16年)を経過している。法定耐用年数を経過しているこれらの施設は、修繕等により施設の延命化を図っているが、製造からかなりの期間が経過しており、修繕部品等の調達が困難となりつつあるため、施設の更新が必要な状況である。平成28年度よりアセットマネジメント(資産管理)を実施予定であり、中長期的財政収支に基づく計画的な施設の整備・更新を図っていく。