経営の健全性・効率性について
収益的収支比率においては使用料収入のみでの経営が困難であるため一般会計からの繰入等により、施設の維持管理や起債償還金、利息等を賄っている状況である。平成23年に小規模下水道整備事業が完了し、今後、大規模な面的整備を行う予定はないことから新規の借り入れはほとんどなく長寿命化事業の借り入れのみのため企業債償還残高は減少していくと考えられる。汚水処理原価については類似団体と同水準であるが使用料収入が少ないため、維持管理費は割高になり、経費回収率は100%を下回っている。施設使用率については使用率が30%超えた状態となっているが、処理場の計画人口に対して現在の水洗化人口が年々減少していること、節水意識の向上及び節水機器の普及により処理水量が減少していることが要因と考えられる。
老朽化の状況について
現在、管渠の更新等は行っていないが、平成15年度に供用開始した田之浦処理場において平成27年度に施設の長寿命化計画等を策定し、経年劣化が進んだ施設の機器の更新を平成28年度から順次行っており、平成29年度に田之浦処理場の機能保全工事が完了した。その他処理場については経年劣化により長寿命化の必要性があると判明した場合は順次、長寿命化計画を策定し実施をする予定である。
全体総括
使用料収入のみでの経営が困難なため、一般会計からの繰入等で賄っている状況である。今後、加入率の上昇により料金収入の増加が期待されるが、少子高齢化等により処理区内の人口減少が懸念され、大幅な収入増は見込めない。また、施設については老朽化が進むため維持管理費が増高することが予想される。このような状況下で下水道事業を安定して経営していくためには、施設の長寿命化を実施し、維持管理費を抑制していくこと及び経費回収率の引上げのために料金改定の検討が必要であるため、平成29年度に料金改定の検討を行った。その結果、料金改定により料金収入が増加すると見込まれるため、経費回収率の引上げになると考えられる。依然として経営状況は厳しいため今後も料金改定の検討を行い健全な経営を目指していきたい。