経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率が100%を下回っているのは、前年度に引き続き、歳出の大部分を地方債償還金が占めていることが原因です。今後の見込として、地方債償還金は増加傾向にあるため、収益的収支比率は75%前後を推移すると考えられます。④企業債残高対事業規模比率について、過去3年間に比べ前年度から大幅に減少し平均値に近づいているのは、繰出基準額の見直しにより一般会計負担額が増加したことが原因です。今後の見込みとして、地方債残高は依然として高い状態ですが、年々、地方債残高を減少させているため、低下していくと考えられます。⑤経費回収率が前年度と比較し、4.07%上昇しているのは、下水道使用料は減少したものの、それ以上に汚水処理費用も減少したためです。主な原因としては修繕費の減少によるものです。平成30年度は100%超となり下水道使用料で回収すべき経費を全て賄えている状況となっていますが、今後は人口減少や節水意識の向上、また令和元年度の大口事業所の使用量減少により下水道使用料収入の減少が見込まれるため、100%未満になると考えられます。⑥汚水処理原価が前年度と比較し8.01円減少したのは、修繕費の減少により、汚水処理費用が減少したためです。平成30年度の指標は⑤経費回収率に改善が見られますが、下水道事業の経営は依然として一般会計繰入金に依存した状況です。今後は歳入に占める一般会計繰入金の減少、適正な下水道使用料体系の改定及び費用の更なる削減により、安定的な下水道事業の経営に取組む必要があります。
老朽化の状況について
多度津町公共下水道事業は、供用開始が平成3年からであることから、平成30年度までに耐用年数50年を経過した管渠は今現在、存在していません。また、終末処理場を単独で有していないため、単独での更新工事費が不要です。将来、耐用年数の経過を順次迎えるにあたり、更新にかかる財源の確保及び費用の抑制、短期間に更新経費が集中しないようにするため、ストックマネジメント計画を策定するとともに、平成28年度に策定した多度津町下水道事業経営戦略(平成28年度~令和7年度)中の収支計画を踏まえ、老朽化対策をより効率的、計画的に実施できるようにする必要があります。
全体総括
平成30年度決算及び今後の見通しについては、費用面において歳出の大部分を占める地方債償還金が今後の経営に大幅な影響を与えると考えられます。また、収入面においては、人口減少や節水意識の向上により、有収水量の増加は見込めず、また、令和元年度においては当町の下水道使用料において大口であった事業所が、大規模な水道使用の削減を行ったため、下水道使用料は今後さらに減少する見込みです。今後、令和2年度より公営企業会計へ移行するため、移行前後では前年度比での比較が難しくなることが予測されますが、公営企業会計の適用により経営を透明化し、下水道事業の経営をより持続可能なものとしていく必要があります。そのためには、将来的に発生する見込みである、老朽化による施設の更新費用をできる限り抑制することが求められます。また、平成30年度より検討が始まった汚水処理事業の広域化・共同化については、維持管理費等の経費削減が可能かどうかを県及び近隣市町で検討する必要があります。