経営の健全性・効率性について
本町の農業集落排水事業において、経営の健全性を示す収益的収支比率(表①)の値は、40%台を推移していたが、平成29年度以降やや改善傾向にあり、令和元年度において100%となっている。収益的収支比率(表①)と経費回収率(表⑤)で見てみると、表①の値は改善されているが、表⑤の値は悪化傾向である。これらの指標から、本事業の大部分が料金収入以外の収入で賄われていることを意味している。水洗化率(表⑧)については、各年とも70%前後で推移しており、全国平均と比較しても低く、施設への接続率が低い状態が続いており、水洗化率の向上にむけた普及啓発を行っていく必要がある。また、汚水処理原価(表⑥)については、平成27年度以降、維持管理費等の増加に伴い、悪化傾向となっているため、今後、維持管理費の削減や接続率の向上による有収水量を増加させる取り組みなど改善が必要である。
老朽化の状況について
本施設は、供用開始から約24年が経過し老朽化が進んでおり、故障箇所も多くなってきている。平成23年度から平成27年度にかけて、処理場の機能強化を実施してきたが、限定的な改修であるため施設全体の機能回復に至っていない。また、管路部分においては、不明水の流入があると思われるが、流入箇所の特定等十分な対策が出来ていない状況である。現在、施設の機能診断と最適整備構想の策定を行っており、今後、適切な施設の運営を行うため、機能強化事業の実施と継続的な保守点検の実施について検討していく必要がある。
全体総括
ここ数年の施設の維持管理費や修繕費等の事業費の増加により、使用料以外の収入(一般会計からの繰入金)が増加してきている。今後は、さらに施設の老朽化に伴う維持管理費等の増加が見込まれる一方で、処理区域内人口の減少による料金収入の減額が予想される。そのような中、安定的な経営に向かうためには、使用料の増額や汚水処理原価をさらに下げる方策を検討する必要があり経営改善に向け取り組んでいかなければならない。