地域において担っている役割
当病院は,中山間へき地である本町における入院を担う唯一のへき地病院であり,外来7診療科,入院2病棟をベースに,救急医療,訪問診療,訪問看護,人工透析等の所謂不採算医療も地域医療確保の観点から実施している。また,無医地区対策として巡回診療も行っている。更には,医学部の学生の臨床実習・初期研修医の研修の場を提供し地域医療教育も行っている。
経営の健全性・効率性について
①町一般会計の繰入等により,毎年100%を上回っている。②人口減少等に伴って入院患者数が減少している中,職員の高年齢化等により人件費が増加しているため,相対的に収支比率が下がる傾向にある。③①により発生していない。④平成29年度から病床数を95床から83床に削減したが,急速に進む人口減少や介護施設への入所等に伴い,入院患者数は減少傾向にある。⑤平成30年1月から,地域包括ケア病床(15床)を開始したため,収益が増加した。⑥ほぼ全件が院外処方のため,平均単価が低くなっている。⑦②の理由により,近年増加傾向にある。⑧入院患者の減少や慢性患者の増加による医薬品の減少に加え,⑥の理由で材料費が低い事等により,比率が低くなっている。
老朽化の状況について
①建物・設備・備品の老朽化と,それに伴う近年の高額な設備等の更新により,近年減価償却費が増加し,率も上昇傾向にある。②平成27年度に電子カルテ・空調機器等の高額設備を購入・更新し,それらの減価償却により率が上昇している。③建物・備品の大半が経年後に県から移譲された財産であり,受贈価格が低くなったため,全国平均を大きく下回っている。平成29年度は病床数を95床から83床に削減したため,当該値が上昇している。
全体総括
本町では現在急速に人口減少が進んでおり,これに伴い入院患者数等も減少傾向にある。このため,医業収益は減少しているが,医業支出は人件費等の固定費が大きな割合を占めているため,相対的に経営が悪化している。こうした状況に対応すべく,平成29年度から地域包括ケア病床を開始し,平成30年度は入院看護体制を13対1に変更し,経営改善に取り組んでいる。病院建物については,旧棟は築50年を迎え老朽化が進み,耐震性にも問題が生じている。こうした諸問題に対応するため,令和4年度に町立病院の新築移転を行う予定である。その際,病棟は60床1病棟にし,地域包括ケア病床の増床等により入院単価を上昇させる一方,看護師等の人員を削減して人件費の抑制を図り,経営の改善を目指す。一方で,建物の新築等により,毎年の減価償却費及び起債の償還額等が大幅に増加するため,引き続き収支バランスの適正化に努める必要がある。