経営の健全性・効率性について
本市の下水道事業は、市の重要施策として位置づけ、供用開始から約20年余りの比較的短期間で急速に整備拡大を図ったことにより、企業債の借入が多く、「④企業債残高対事業規模比率」は類似団体平均値を大きく上回っています。またこれにより流動負債が大きくなっており、「③流動比率」は類似団体平均値を大きく下回っています。令和元年度より地方公営企業法を適用したことにより、経営の健全性を判断するベースは、今までの元利償還額から利息償還額と減価償却費になりましたが、法非適用時と同様、利息償還額や減価償却費が大きいことや、流域下水道維持管理負担金が年々増加する傾向にあることにより、「⑥汚水処理原価」も類似団体平均値を大きく上回っています。平成19年度に下水道事業健全化計画を策定し、39.9%の使用料改定、平成23年度にも22.0%の使用料改定を実施したものの、必要な汚水処理経費全てを使用料で賄うまでに至らず、「⑤経費回収率」は令和元年度で88.42%と低く、それに伴って「①経常収支比率」は類似団体平均値を下回り、「②累積欠損金比率」は類似団体平均値を上回っており、非常に厳しい経営状況になっています。整備普及率は令和元年度末で98.03%となりましたが、「⑧水洗化率」は91.88%と低く、水洗化促進のため水洗便所改造助成、融資あっ旋等の制度の見直しや再任用職員による啓発活動等を実施しています。なお、「⑦施設利用率」については、単独処理場を設置していないため、未計上となります。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、昭和45年から流域関連公共下水道として下水道整備に着手し、昭和60年度より供用開始しました。現在のところ法定耐用年数50年を経過した管渠はありません。
全体総括
近年の節水意識の向上や節水機器の普及により使用料収入は伸び悩んでいることから、特に水道の使用水量の大口使用者への下水道接続のため、効率的に普及及び水洗化促進を行っているが、いまだ使用料収入だけでは賄えず、厳しい経営状況となっています。しかしながら、固定資産が法定耐用年数に近づいており、今後の資産管理として令和元年度に、ストックマネジメント計画を策定しました。この計画に基づき、令和2年度には点検・調査を進めており、効果的で効率的な維持管理及び改築を進めていく予定です。また、使用料収入の更なる確保や適正な使用料の設定等に取り組む必要があり、令和2年度には経営戦略の策定に着手しており、今後の下水道事業の持続可能な経営に必要な施策を検討していきます。