地域において担っている役割
山城南圏域における、唯一の中核的公立病院として、救急医療及び小児・周産期医療などの不採算部門にかかわる政策的医療をはじめ、感染症医療や災害医療等を担っている。また、地域医療支援病院として、地域の医療機関等との密接な連携や専門外来・入院等の面で地域医療の中核的な役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
経営の健全性を示す①~④の指標については、「④病床利用率」を除いて類似病院の平均値と比較し、優位な指標を示しており、経営の健全性は維持されている。なお病床利用率に関しては、当院が10床の感染症病床を有している事情から平均値よりも低い指標となっているものの(実利用率は73.1%)、利用率が伸び悩んでいる要因としては、特定診療科医師及び医師全体数の不足による受入体制が不十分である事や平均在院日数の短縮による影響が考えられる。経営の効率性を示す⑤~⑧の指標については、高額薬剤の増加に伴い「⑧材料費対医業収益比率」に大きな変動がみられるものの、平均値と比較し、大幅な乖離は無い。以上、今後の経営については、マンパワー充実を図ることによる受入体制の整備、救急搬送受容率の強化、地域医療機関との連携強化等により、健全経営に努めていく。
老朽化の状況について
有形固定資産の更新については、新公立病院改革プラン等で策定した投資計画に基づき、適切に管理しており、経営指標においても類似団体との平均値と比較し、大幅な乖離は無い。今後も経営状況を鑑みながら、山城南医療圏の医療需要に対して、地域に必要な医療機能を確保し、政策医療や良質な医療を安定的かつ継続的に提供するために、有形固定資産の適切な更新・整備を図る。
全体総括
収益面では、外来患者数の増加及び外来化学療法等の単価が高い治療の増加等により外来収益が大幅に増加し、医業収益が前年度比で約2億8千万円増加した。費用面では、高額薬剤の増加に伴い薬品費が増となったが、給与費が1.3%の増と前年度に比べ上昇幅が低かったため、全体で前年度比約1億8千万円の増加にとどまった。以上のことから増収・増益となり、経常利益及び純利益を計上することとなった。今後は、新公立病院改革プランとしての第4次経営計画に基づき、地域医療支援病院として適切なマンパワーの充実、中核病院としての主要な医療機器等の更新・整備を図るとともに、さらなる経営の改善に努める。また、引き続き京都府南部の唯一の公立病院として地域医療の拠点としての役割を果たすため、高齢化の進行に伴い増加する疾患への対応、救急医療の受入強化、人口増加地域であることを踏まえた周産期医療等を推進していく事が重要と考える。