地域において担っている役割
山城南圏域における、唯一の中核的公立病院として、救急医療及び小児・周産期医療などの不採算部門にかかわる政策的医療をはじめ、感染症医療や災害医療等を担っている。また、平成29年11月に地域医療支援病院の承認を受けたことで、地域の医療機関との密接な連携や専門外来・入院等の面で地域医療の中核的な役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
当院の経営指標において「③累積欠損金比率」については、平均を大きく下回っており、医業収益に占める欠損金の割合は少ないと言えるが、引き続き健全な経営基盤を確立すべく、欠損金解消に向けた収支改善策を進めていくことが不可欠である。「④病床利用率」について、当院が有している10床の感染症病床を除いた利用率は72.4%となるものの、利用率が伸び悩んでいる要因としては、特定診療科医師及び医師全体数の不足による受入体制が不十分である事や平均在院日数の短縮に伴う延患者数の減少が考えられる。対策として、マンパワー充実を図ることによる受入体制の整備、救急搬送受容率の強化、地域医療支援病院の資格取得による地域医療機関との連携強化等により病院の責務を果たしつつ収益向上に努めていく。
老朽化の状況について
有形固定資産の更新については、新公立病院改革プラン等で策定した投資計画に基づき、適切に管理しており、経営指標においても類似団体との大きな乖離は無い。今後も経営状況を鑑みながら、山城南医療圏の医療需要に対して、地域に必要な医療機能を確保し、政策医療や良質な医療を安定的かつ継続的に提供するために、有形固定資産の適切な更新・整備を図る。
全体総括
平成29年度は「地域医療支援病院」の承認を受け、さらなる地域医療の充実に努めた。収支面では、救急車受容率向上に向けた取り組み等により、前年度比で約2,900万円を改善できたものの、人員体制強化等の影響から支出を上回る収益確保には至らなかった。今後は、新公立病院改革プランとしての第三次経営計画に基づき、地域医療支援病院として適切なマンパワーの充実、中核病院としての主要な医療機器等の更新・整備を図るとともに、経営の改善に努める。また、引き続き京都府南部の唯一の公立病院として地域医療の拠点としての役割を果たすため、高齢化の進行に伴い増加する疾患への対応、救急医療の受入強化、人口増加地域であることを踏まえた周産期医療等を推進していく事が重要と考える。