地域において担っている役割
国保京丹波町病院は、昭和30年5月の開設以来、開業医のいないこの地域のかかりつけ医的な役割を担っており、病床機能を有し、救急対応や公衆衛生活動を提供し地域医療を守り続けている。また、在宅医療も推進し、医療・介護・保健・福祉を継続的かつ一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の拠点病院の役割を担い、地域住民のくらしを守っている。
経営の健全性・効率性について
入院・外来共に患者数が大幅減のとなった昨年度に比べ、入院患者数は回復する一方、外来患者数は更に減少し明暗を分けた。収益については、入院では内科常勤医師が2名増加し患者確保に繋がったことと、地域のニーズに応えて導入した地域包括ケア病床の稼働により、結果として病床利用率が56.6%まで戻り、かつ患者一人一日当たりの入院収益が11.3%増の26,633円まで上がったことが大きい。一方、外来は、年度終盤が新型コロナウイルス感染症の影響の拡大時期に重なり患者数が減少に転じたが、収益への影響は軽微となった。費用については人件費のウェイトが大きい状況の中、昨年度は職員給与費対医業収益比率が108.2%という異常値を示していたが、11ポイントマイナスの96.9%まで戻すことができた。これは収益の伸びに加え常勤医の確保により非常勤医師の賃金を減らすことが出来たことが大きい。経常収支比率は一昨年度近くの水準にまで戻すことができたが3期連続で100%を下回っている。今後も、常勤医師の確保を維持し、患者数の増加と職員給与費の削減に注力しないといけない。
老朽化の状況について
取得価格の全体に占める割合の多きい国保京丹波町病院の建物は平成16年に新築した鉄筋コンクリート造のため、耐用年数が長く有形固定資産減価償却率は低い水準である。1床当たり有形固定資産の額が若干平均値を上回っているが、これは47床の小規模な施設のためである。
全体総括
昨年度に比べ、入院収益が大幅に回復した1年となった。大きな要因として医師確保の努力が成果として常勤医師1名と内科専攻医1名の確保に成功し、病床稼働率が上がった。また、地域包括ケア病床の稼働により入院単価が上ったことが次に挙げられる。入院事業には施設基準に沿った人的な医療資源を多く投入していることから、病床稼働率や入院収益の上昇が経営改善に直結することになる構造だが、その結果が形となって表れた。引き続き、医師確保に努力し、経費節減に努めることで、新公立病院改革プランに沿った健全経営に取り組んでいく。