経営の健全性・効率性について
①類似団体、全国平均と比較して若干低い数値となってはいるが、100%は超過しており、ほぼ経常収益で賄えている状況である。莫大な減価償却費を一般会計からの補助により調整が保てている状況であることから、更新投資等の財源確保が困難な状況であり、経常経費の更なる削減等、経営改善に努める必要がある。②類似団体と比較すると、同レベルであるが、全国平均には遠く及んでいない。29年度は、法適用初年度であり、28年度以前から存在する未収給水収益に対する特別損失計上があったことで欠損金が発生した。①の状況から、30年度以降にあっても6~7%前後の数値で推移すると見込む。③企業債元金償還金が当面の間、5億5千万前後で推移するが、法適用直後で現預金を保有していないため、類似団体、全国平均と比較しても極めて低く、30年度の決算見込では、更に15%前後に落ち込む見込みである。当該数値が100%を超えるためには、現状の経営状況では、約10年を要する見込みである。④類似団体が450%程度で推移しているのに対し、本町は1764%と極めて高い水準となっている。統合簡易水道整備事業により大規模な建設投資を行ってきており、それに係る経費の大部分を地方債の借入に頼っていることから、地方債残高は依然、大きい額となっている。年間有収水量は大型施設の利用により若干増加したが、給水件数の減少から横ばい状況である。28年度で統合簡易水道整備事業が完了し、29年度以降、大規模な建設投資は見込まれないため、地方債借入額も抑制傾向が見込まれ、地方債残高は減少傾向となると考えられるが、類似団体と同規模の数値までには、約26年後となる見込みである。⑤類似団体は平均96%程度であるが、本町は47%前後である。減価償却費が8億円を超えていることが影響し、給水原価は517円となった。供給単価が240円台で推移すると見込まれることと、減価償却費が7~8億円前後であることから、40年度頃までは、料金回収率は50%付近の数値を維持する状況と考える。⑥類似団体が180円前後であるのに対し、本町は500~550円前後と高額になっている。高額な設備投資を行ってきたことにより法適用以前から給水原価は500円~550円前後で推移していた。減価償却費も7~8億円の規模であり、人口減少等に伴い一般家庭の使用料に減少傾向が予測されることや施設の老朽化に伴う修繕事業の増加等から、給水原価は、今後も高い水準を維持しながら推移することが予測される。⑦類似団体が55%台であるのに対し、本町は40%台となっている。一日平均配水量は約11千㎥前後で推移している状況であるが、施設能力に大きな変動はないため、今後も40%前後で推移するものと考えられる。⑧類似団体は80%台であるが、72%台となっている。年間総配水量は平均約270万㎥前後で推移をしているが、有収水量は人口の減少傾向に伴い年々減少の傾向にある。今後も人口減少による有収水量の減少が予測されるとともに、老朽化による漏水の増加に伴い、配水量の増加が予測されるため、有収率も低い水準を維持すると考える。
老朽化の状況について
①平成28年度までの統合簡易水道整備事業で整備した建造物資産の償却が進んでいないため、類似団体、全国平均と比較すると極めて低い数値となっているが、管路については、②のような状況であり、更新は進んでいないのが実情である。②類似団体が10.84%、全国平均15.89%に対し、本町は18.02%と高い数値となったいる。515.22kmの管路総延長に対し耐用年数を経過した管路が92.85kmあり、老朽化は否めない。昭和40年代後半から50年代に建設した施設の多くを現在も活用している状況であり、今後、効果的な管路更新を進めたいと考える。③類似団体、全国平均と比較して高い数値となっている。平成29年度からは管路更新事業が中心となってくることから、今後も、効果的な管路更新を進めたいと考える。
全体総括
平成28年度で統合簡易水道整備事業が完了し、平成29年度からは上水道事業として法適用を受け、企業会計に移行することとなった。効果的で効率的な建設投資により、施設の老朽化への対応や耐震化への対応を検討するとともに、安定した料金収入の確保に努め、事業経営の健全化を図りたい。平成25年には畑川ダムからの取水も開始し、安定した水の供給が可能となったことに加え、京都縦貫自動車道の全面開通に伴い、さらなる水需要の拡大が期待されるところである。今後は、町関係部局と連携し、積極的な企業誘致や定住施策の推進に努めたいところである。