地域において担っている役割
地区唯一の中核病院及び地域医療支援病院(H30年度に承認)として、救急・急性期医療から回復期医療を軸に災害時医療(H29年度より災害拠点病院に指定)、併設の介護老人保健施設との連携、地域の医療機関との連携、へき地医療拠点病院として不採算部門医療の提供、へき地診療への医師派遣を行っている。また、感染症指定医療機関として、県、地区の行政及び保健所と連携して地区の中心として感染症対応に当たっている。
経営の健全性・効率性について
27年度より回復機能病棟を運用開始し、患者ニーズに沿った病床管理を行い、病床利用率80%超及び経常収支比率100%超を保っていたが、主要な診療科で医師の異動が多く患者数が減少したこと、新型コロナウィルス感染症の影響により、通常は患者が増加する冬期に患者減少となり、①経常収支比率、②医業収支比率、④病床利用率がすべて悪化している。③累積欠損金比率については、令和元年度時点では発生していない。⑤入院患者1人1日当たり収益、⑥外来患者1人1日当たり収益は類似病院を下回っているが、対応可能な高度医療、病床機能、看護体制により大きく変わるため、単純な比較は難しい。診療報酬の新規加算取得には継続的に取り組んでおり、年々単価は上昇している。⑦職員給与費対医業収益比率は医業収益の減少により悪化し、類似病院を上回っている。⑧材料費対医業収益比率については、価格交渉、診療材料の見直しや後発医薬品への切り替えにより、低い水準を保っている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②器械備品減価償却率ともに類似病院より高い率となっている。建物・医療器械ともに必要性を十分考慮し、中長期的な計画をもって更新を行っていく。③1床当たり有形固定資産については、H28年度に本館棟竣工と病床数削減を行ったため、類似病院平均を上回っている。
全体総括
前年度まで3期連続での経常黒字であったが、令和元年度は、医師の異動等により医業収益が大きく減少したため経常赤字となった。今後については、安定した医療体制の提供と経営の安定化のため、医療スタッフの安定的な確保により、病床利用率を高め、経営改善に努めていく。また、感染症指定医療機関としての役割を継続して遂行していく。有形固定資産に関しては、建物・医療機械の中長期的な計画による更新が必要であるが、収益的収支に影響が出ないよう慎重に時期と必要性の検討を行っていく。