地域において担っている役割
東紀州区域地域医療構想における基幹病院である尾鷲総合病院は、三重県南部に位置する東紀州地域の中核病院として、また紀北地区唯一の公立病院として、・365日24時間体制での救急患者の受け入れ・民間病院では不採算となる小児・周産期医療の提供・MRIなどを活用した高度医療の提供・災害拠点病院としての受け入れ体制の構築などを行っており、地域医療の中心として住民の健康を支えています。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、療養病棟を地域包括ケア病棟に転棟したことにより入院患者1人1日当たり収益が増となったことや、材料費の削減等により3年ぶりに経常黒字となりました。病院の本業を示す医業収支比率は、H27以後は下降傾向となっておりましたが、地域包括ケア病棟への転棟等によりR1は上昇し、類似病院平均値及び全国平均についても上回っております。患者1人1日当たり収益は、入院で類似病院平均値より約15,000円下回っておりますが、R2からDPC制度に参加することにより入院収益が増となる見込みです。
老朽化の状況について
尾鷲総合病院の資産のうち、昭和44年に完成した外来棟は50年以上が経過し、また平成8年度に完成した入院棟は23年以上が経過しているため、年々資産価値が減少しています。有形固定資産減価償却率は、類似病院平均値を約21ポイント上回るなど、全体的に老朽化が進んでいます。また、機械備品減価償却率についても経営状況が厳しいことから、老朽化した機械備品を更新よりも修繕で対応することが多く、類似病院平均値より約7ポイント上回っています。1床当たり有形固定資産は、過去5年間はほぼ同額となっていますが、類似病院平均値が年々上昇しているため、他病院より投資額は抑えられています。
全体総括
R1は、医療圏人口の減少により外来の患者数及び収益が減となりましたが、入院については地域で不足している地域包括ケア病棟に転棟したことにより、患者数及び収益が増となり、3年ぶりの黒字決算となりました。収益のうち50%以上を占める入院収益は、患者1人1日当たり収益が類似病院平均値の約69%と大幅に下回っておりますが、R2からDPC制度に参加することにより改善される見込みです。なお、R1に見直した新公立病院改革プランに取り組むことにより更なる経営の健全化に努めます。現有資産については、全体的に老朽化が進んでいて、今後、更新が必要な医療機械等が増えることが予想されることから、計画的に更新する必要があります。