経営の健全性・効率性について
令和3年度末の普及率は61.1%となり,前年度に比べ1.56ポイント上昇した。経常収支比率は黒字であり,累積欠損金が発生していないため,経営の健全性は保たれているが,流動比率は100%を下回っていることから,財政状態の改善が求められる。企業債残高対事業費規模比率は,類似団体平均値を上回っており,過去に借り入れた建設改良企業債の影響により企業債償還額は増加傾向にある。今後もしばらくは,投資費用が必要なことから,企業債元利償還による経営への圧迫が懸念される。汚水処理原価は,前年に比べ1.53円減少し,その結果経費回収率は1.33ポイント増加した。しかし100%を下回っていることから,使用料収入だけでは汚水処理費全額を賄うことができない状況であり,一般会計からの繰入金に依存する経営となっている。水洗化率は,平成29年度から87%台の水準で停滞しており,類似団体平均値と比較しても下回っているため,未接続世帯の解消に努めていく必要がある。
老朽化の状況について
公共下水道の供用開始時期が,平成8年1月であるため,管渠施設等は法定耐用年数の半分にも満たないものが多く,老朽化は進んでいない状況である。
全体総括
人口減少の加速といった社会情勢の変化に伴い,公共下水道事業を取り巻く経営環境は今後ますます厳しくなると予想される。そのため,令和4年度に経営の基本計画である鈴鹿市上下水道事業経営戦略を改定し,投資計画の見直し等を図るとともに,整備手法の最適化等を検討し,効率的な事業運営に努めることとした。今後は,この経営戦略に基づき,効率的に安定した経営を継続するよう取り組んでいく。