地域において担っている役割
当院は知多半島構想区域内において、医療従事者・医療設備ともに最も充実した病院の1つとなっており、これらの医療資源を最大限に有効活用し、へき地医療を除く5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)5事業(救急医療、災害時における医療、周産期医療、小児救急医療を含む小児医療)を担っています。また、知多半島医療圏北西部地域における救急医療の充実と地域連携の強化を大きな使命として、5疾病5事業の充実・発展を図っていくことに加え、地域の医療ニーズとして高まっている新興感染症への対応が、当院の役割であります。なお、平成31年4月からは、がんの集学的治療が行えるよう放射線線治療を開始するなど、高度医療の提供にも努めています。
経営の健全性・効率性について
令和元年度は、平成30年度途中から順次退職した消化器内科常勤医の不在期間が、令和元年6月末までとなった影響もあったが、看護職員夜間12対1配置加算1など新規施設基準の取得等に伴い入院診療単価が向上し、また、4月からの放射線治療開始に伴い外来診療単価が向上したため、「②医業収支比率」、「④病床利用率」、「⑤入院患者1人1日当たり収益」、「⑥外来患者1人1日当たり収益」及び「⑦職員給与費対医業収益比率」の数値において、若干ではあるがそれぞれ改善し、また、類似病院の平均値を下回っている「⑤入院患者1日当たり収益」及び「⑥外来患者1人1日当たり収益」は、新規及び上位施設基準の取得に伴い、令和2年度に大きく改善される見通しで、「④病床利用率」については、令和2年2月から新型コロナウイルス患者対応のための病床確保等の影響もあり、微増に留まっています。なお、類似病院の平均値を下回っている「①経常収支比率」、「②医業収支比率」、「③累積欠損金比率」及び「④病床利用率」については、医師不足による影響が大きく、継続して医師確保に努め、入院収益などの増収等経営改善に取り組み、早期に赤字経営から脱却・黒字計上が必要と考えています。
老朽化の状況について
当院は、平成27年5月に新病院として開院しているため、「①有形固定資産減価償却率」は、類似病院を下回っていますが、「②器械備品減価償却率」については、開院時に整備した電子カルテ及び医療機器等が法定耐用年数を経過するなど、年々値が上昇傾向にあり、若干類似病院を上回っています。なお、今後は、開院時に整備した医療機器等の更新に係る財源確保と、電子カルテ等高額な備品の中長期的な更新計画の検討・作成していく必要があります。
全体総括
開院5年目で、診療体制等一部過渡期でありますが、経営的には大変厳しい状況下にあります。平成28年度末に策定した改革プランで掲げている経営改善に向けた具体的な取組等の目標を確実に達成できるよう職員一丸となって取り組み、収益面では、新規施設基準の取得等による診療単価の増及び地域連携の強化による患者確保等により収益を向上させ、また、費用面においては、医薬品費及び診療材料の価格交渉をはじめとする経費削減に向けた取り組みを継続実施しており、「⑧材料費対医業収益比率」は、ほぼ横ばいで推移しておりますが、同規模の公立病院と比較して上位に位置している「⑦職員給与費対医業収益比率」については、更なる業務の効率化・生産性の向上等を図り、収益確保と給与費の削減に努めていき、早期の経営の健全化を目指します。なお、安心で安全な質の高い医療を継続し、地域の中核病院として、救急医療及び高度医療提供体制の強化・充実などに加え、現在実施できていない分娩の取り扱い等地域の医療ニーズに応えるため、病院運営の根幹である医師確保についても、最大限努力していきます。