経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は100%前後ではあるが、これは他会計繰入金に依存しているためである。また④企業債残高対事業規模比率は0%であるが、これも企業債を一般会計から繰り入れて負担しているためである。⑤経費回収率では類似団体平均値が約57%であるのに対し17.3%となっていることから、料金収入が少ないことが伺える。昨年度の約17.8%から下降したが、人口減少要因である。⑥汚水処理原価は約660円であるが、使用料及び修繕費の増加が要因で、昨年よりも高い数字となっている。類似団体の平均値が約270円に対し近年は700円前後で推移しており、比較すると高い処理費となっている。これはここ数年間、機器の修繕を行っていることもあるが、計画処理水量の50%以下の処理水量となっており、夏季の海水浴客等の流入人口を含めた計画処理量であるためである。⑦施設利用率は類似団体平均値の66.53%に対し、約5分の2の23.75%となっている。本地区の特徴として夏季における海水浴客を見込んだ計画としているが、年最大処理水量としても50%強の利用率しかない。近年の海水浴離れの影響を受けていると思われる。また処理区域人口も減少してきており、適切な処理施設の規模となっていないことが伺える。⑧水洗化率は約90%であり、類似団体平均値を上回っているが、人口減少により僅かに90%割り込んでいる。
老朽化の状況について
③管渠改善率は0%となっているが、これは標準耐用年数を経過した管渠がなく更新する必要がないためである。しかしながら約24年後には耐用年数を迎えることになる。
全体総括
下水道の経営は料金収入が少ないため他会計繰入金に依存している状況である。この先、定住人口や海水浴客等の流入人口も減少傾向にあるため、料金収入の増加は見込めないことから、他会計繰入金に依存しない健全な経営になるような取組が必要である。将来において継続して処理施設の修繕工事を実施していく費用が必要となるが、処理施設が適切な規模を再検討する必要がある。また管渠については現時点で中継ポンプ施設以外の更新費用は必要ないが、本地区は平成8年度に供用開始されており、約24年後には標準耐用年数を迎えることになるため、適切な更新計画に基づく投資が必要である。令和2年度に経営戦略を策定したが、更なるコスト策減を目指す必要がある。令和7年度更新予定