経営の健全性・効率性について
①収益的支出比率は100%前後ではあるが、これは他会計繰入金に依存しているためである。また④企業債残高対事業規模比率は0%であるが、これも企業債を一般会計から繰り入れて負担しているためである。⑤経費回収率では類似団体平均値が約60%であるのに対し約16%となっていることから、料金収入が少ないことが明確である。昨年度の約14%から上昇したが、修繕費が相対的に減少した事が原因である。⑥汚水処理原価は690円であるが、修繕費が減少したので、昨年度より低い数値になっている。類似団体の平均値が約270円に対し近年は700円前後で推移しており、計画処理水量の50%以下の処理水量であるため、最適な処理方法となっていないことが疑われる。⑦施設利用率は類似団体平均値が50%強に対し、22%程度である。本地区の特徴として夏季における海水浴客等の流入人口を見込んだ計画となっているが、近年の流入人口と定住人口を再度精査し適正な処理施設規模の確認が必要である。⑧水洗化率は約90%であり類似団体平均値を上回っており高い数値となっている。
老朽化の状況について
③管路改善率は0%となっているが、これは標準耐用年数を経過した管渠がなく更新する必要がないためである。しかしながらストックマネジメントの効率的な機能保全対策を比較検討し、経営改善のためコストを抑えた更新を実施することが必要である。
全体総括
下水道の経営は料金収入が少ないため他会計繰入金に依存している状況である。この先、定住人口や海水浴客等の流入人口も減少傾向にあるため、料金収入の増加は見込めないことから、他会計繰入金に依存しない健全な経営になるような取組が必要である。将来において継続して処理施設の修繕工事を実施していく費用が必要となるが、処理施設の適切な規模を精査して、ダウンサイジング等施設整備保全をする必要がある。また管渠については、平成8年度に供用開始され、現時点では老朽化していないので更新費用は計上されていないが、平成30年度に作成した農業集落排水施設最適整備構想を基本として、費用対効果の得られる投資計画を実施し経営の改善が必要である。経営戦略は令和2年度末策定