経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は100%前後ではあるが、これは他会計繰入金に依存しているためである。また④企業債残高対事業規模比率は0%であるが、これも企業債を一般会計から繰り入れて負担しているためである。⑤経費回収率では類似団体平均値が約60%であるのに対し15%となっていることから、料金収入が少ないことが伺える。昨年度の約12%から上昇したが、人事異動による職員給与費の減が要因である。⑥汚水処理原価は約750円であるが、人事異動による職員給与費の減少が修繕費の増より大きいことが要因で、昨年よりも低い数字となっている。類似団体の平均値が約270円に対し近年は700円前後で推移しており、比較すると高い処理費となっている。これはここ数年間、機器の修繕を行っていることもあるが、計画処理水量の50%以下の処理水量となっており、最適な処理方法となっていないことが疑われる。⑦施設利用率は類似団体平均値が50%強に対し、約2分の1の25%程度となっている。本地区の特徴として夏季における海水浴客を見込んだ計画としているが、年最大処理水量としても50%強の利用率しかない。近年の海水浴離れの影響を受けていると思われる。また処理区域人口も減少してきており、適切な処理施設の規模となっていないことが伺える。⑧水洗化率は90%以上であり、類似団体平均値を上回っており高い数値となっている。
老朽化の状況について
③管渠改善率は0%となっているが、これは標準耐用年数を経過した管渠がなく更新する必要がないためである。しかしながら約28年後には耐用年数を迎えることになる。
全体総括
下水道の経営は料金収入が少ないため他会計繰入金に依存している状況である。この先、定住人口や海水浴客等の流入人口も減少傾向にあるため、料金収入の増加は見込めないことから、他会計繰入金に依存しない健全な経営になるような取組が必要である。将来において継続して処理施設の修繕工事を実施していく費用が必要となるが、処理施設が適切な規模とはなっていないため、ダウンサイジング化を模索する必要がある。また管渠については現在は老朽化していないので更新費用は必要ないが、本地区は平成8年度に供用開始されており、約28年後には標準耐用年数を迎えることになるため、多額の更新投資が想定される。このため、早急に将来の最適な処理方法を検討するとともに平成32年度までに経営戦略を策定する予定である。