地域において担っている役割
共立蒲原総合病院は、旧庵原3町及び旧芝川町の地域では、唯一入院施設のある病院である。「急性期病床」「地域包括ケア病床」「療養病床」の3つの病床機能を有するケアミックス病院で、必要な医療を切れ目なく提供できるよう取り組んでいる。高齢化が進む中で重要性が増している在宅機能については、訪問看護ステーションも有しており、在宅医療にも対応している。また、健康診断センターも有しており、病気の早期発見・早期治療により健康寿命を延ばす予防医学にも取り組んでいる。当院は、災害発生時の孤立化が懸念される地域に立地している唯一の救護病院である。地域住民が安心して生活を送るため救急医療、災害医療を提供できる体制を維持し続けることが責務であると考える。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、構成市からの損失補填補助金収入により、高い比率になっている。しかし、本業である医業収支比率は、昨年度よりは改善しているものの、医業費用を医業収益で賄えていない状況である。病床利用率は、類似病院の平均値を上回るが、1人1日当たり入院収益及び外来収益は、類似病院の平均値を下回る。1人1日当たり入院収益は、当院では急性期病床の他、地域包括ケア病床及び療養病床を有している為、類似病院の平均値を下回る。収益増を図るため新たな加算取得、出来高算定可能な検査件数増に努める。1人1日当たり外来収益は、日帰りの手術、検査件数が少ない為、類似病院の平均値を下回る。外来診療の充実を図り、日帰りの手術、検査件数の増に努める。職員給与費対医業収益比率は、類似病院平均値と比較すると経年で高い水準で推移している。職員の高年齢化や、医療提供体制を確保するための非常勤医師の賃金等が要因と考える。収益、支出とも改善が必要である。収益では医業収益を確保するため大学訪問、医師紹介会社の活用、医師募集の広告掲載等により常勤医師の招へいを図る。支出では業務改善等により職員配置の適正化を図り人件費を抑制し、収支改善に努める。
老朽化の状況について
当院は、新築移転から37年が経過し本館の老朽化が著しい。令和2年度から病棟の大規模修繕工事を予定しており、引き続き長寿命化に努めている。また、医療器械については、耐用年数を超えて使用している物もあるが、計画的な設備更新を行い財政負担の平準化に努めている。1床当たり有形固定資産は、類似病院平均と近似値ではあるものの、病床の返還によりダウンサイジングを実施しているが建物の資産が残っている事、過去に運営をしていた看護学校の建物を有している事や健診センター事業、訪問看護事業を有している事等を考慮すると実質は平均よりも少ない資産保有となる。財源が限られている為、企業債を効果的に使用し、必要な整備・更新に努めている。
全体総括
当院は、富士医療圏及び静岡医療圏の境界に位置し、両圏域の患者を受入れている。外来患者の約73%、入院患者の約49%は、旧庵原3町と旧芝川町の住民で占められている。この地域には競合する公立・公的病院、民間病院はなく、他病院との統合や再編は困難と考える。また、当院はケアミックス型病院であり、近接する市立病院とは病床機能において、急性期、回復期で重複するものの適切な配分になっており、慢性期は、当院だけが持つ病床機能である。今後も圏域の地域病院として、基幹病院と連携しながら経営改善に努める事が必要である。