経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、100%以上を確保してはいるものの、例年、100%付近での横ばい傾向となっており、5ヵ年全体の傾向では、高齢化や人口の減少による加入者の減少等に伴い、給水収益は、年々減少傾向にあり、一方で、維持管理費等の費用は年々増加傾向にある。累積欠損は、配水池耐震化の影響で、平成24年度に単年度発生した以外、現在まで発生していない。同じく、短期的支払能力を示す流動比率も、配水池耐震化関連で、流動比率が一時的に増大したものの、現在では改善されている。また、債務残高については、健全、且つ計画的な状態で維持・推移している。料金回収率については、長期前受金戻入を算入しない場合、収入が若干上回る程度で、ほぼ収支が拮抗している現状からも、今後の料金改定による収益の改善が課題となっており、既に水道料金の改定を視野に入れた増収計画が必要となって来ている。一方で、給水原価については、100円台前半で維持・推移しており、効率的な状況となっている。また、施設利用率は、加入者が減少傾向にある現状と高齢化等にも起因する使用量の減少から、年々下落傾向にある。有収率は、70%台ではあるものの、類似団体平均値と比較した場合、まだ低く、今後の事業運営において漏水等の調査・改善を図り、更なる有収率の向上が求められる。
老朽化の状況について
施設全体での減価償却の状況は、ほぼ50%台で推移しているが、類似団体平均値との比較でも若干、高い数値を示している。同じく、管路の経年化の状況においても、同様の傾向を示しており、計画的な管路更新を推進してゆく必要があるといえるが、既に実施済みの配水池耐震化に加え、複数の地区で同様の計画をしており、平行してその他の施設における計画的な更新にも努めている。結果として管路更新率は、各配水池耐震化計画の合間での老朽管更新を示す数値となっている。
全体総括
年々、給水収益も下落傾向にあり、また、高齢化や人口の減少といった流れも深刻化している現状の一方で、施設や管路等の設備の維持・更新も計画的に実施して行かなければならない中で、このままの推移で続けば、近い将来、費用が収益を逆転する流れの中にあり、早晩の料金改定を検討する時期に入ったといえる。