経営の健全性・効率性について
収益的収支については、収支率100%を下回る赤字状態であり、H27~H28迄は80%を上回っているが、H29に71.36%に減少している。その後、H30には91.28%と回復しているが、R1には使用料収益及び一般会計繰入金の減少、地方債償還金の増加により、61.35%に減少している。企業債残高対事業規模比率については、H27以降類似団体よりも高い傾向にある。建設当時の借入金償還はR6の完済に向けて減少していくため、事業規模比率はR5以降減少すると分析している。施設利用率は、建設当時の計画処理量に対して、その後の定住・観光人口の減少により、類似団体と比較してもかなり低い数値となっている。これについては、現在進めている処理施設の更新工事において、現状に見合った処理能力に見直しているため改善されるが、観光型集落であることから、夏期のピーク時に対して計画しているため、更新完了後の施設利用率も低い数値になると分析している。使用料収入については、水洗化率及び徴収率が100%の状況であるが、経費回収率は100%を下回った値であり、使用料で賄いきれない部分については一般会会計繰入金により賄っている。また、H30からの経費回収率の減少については、委託料及び修繕料の増加によるものである。H27~H30には汚水処理原価が類似団体と比較しても若干抑えられているが、R1には類似団体と比較して高い数値となっている。今後料金改定等により経営健全化を図っていく必要はあると考える。
老朽化の状況について
H7の供用開始から、約20年経過した中、H26からH27にかけて、集落排水処理施設(排水処理場、中継ポンプ場、官渠)の健全度調査を行い機能保全計画を策定した。排水処理場については、機器等の老朽化が著しいため、H28より更新工事に着手している。管渠については、調査の結果、健全度が保たれているため、現在のところ、改築又は更新計画はない。
全体総括
経営健全化の手法として、人件費削減、広域化による施設統廃合の改善等があるが、当該事業は受益戸数が100戸に満たない小規模なもので、人件費は一般会計事務の職員が兼務しており、予算計上されていない。普及率及び水洗化率はともに100%で、使用料の徴収率も100%である。今後の広域化による公共下水道との施設統合は、集落が遠方で孤立しているため不可能である。経営健全化対策としては、現在進めている処理施設の更新工事において、処理能力及び処理方式を見直すことにより、更新工事費及び電気料、汚泥引抜料の維持管理費の削減を図っていく。